イベント・舞台挨拶

『最後の乗客』公開記念舞台挨拶

© Marmalade Pictures, Inc.

 登壇者:堀江 貴(監督)、冨家ノリマサ、畠山 心、谷田真吾
     ※ 岩田華怜はVTRコメントで登壇

 自主制作映画のクラウドファンディングから動き出し、仙台の一館の劇場から始まり、世界の映画祭で絶賛され改めて日本での凱旋全国公開となる堀江 貴監督作『最後の乗客』(配給:ギャガ)の公開記念舞台挨拶が10月12日(土)に東京・渋谷のユーロスペースにて開催。全国拡大ロードショーで絶賛公開中の『侍タイムスリッパー』で大ブレイクした冨家ノリマサ、畠山 心、谷田真吾、そして監督の堀江 貴がNYより駆けつけ登壇した。主演の岩田華怜は現在留学中のNYからVTRコメントで喜びの声を届け、それを見た冨家が感極まって涙する一幕も。

 映画を観終えたばかりの観客の割れんばかりの拍手に迎えられた登壇陣は、それぞれに観客への感謝の言葉を口にする。中でもひときわ初々しい姿を見せていたのが、本作で俳優デビューを飾った畠山。はにかみつつも「緊張していましたが、初めての映画でとてもいい経験ができました」と堂々と挨拶した。

 堀江監督は本作の制作を決意した理由について、自身が東日本大震災の被災地の宮城県出身であり、震災時はニューヨークにいたことを明かし「震災から5年くらい経った時、震災というものが風化しつつあるのを感じて、形に残る方法で何かできたらと思った」と語る。その後、クラウドファンディングで予算を募って映画が制作され、宮城県仙台市の1館での公開から始まったが、わずか55分の中編にもかかわらず、世界各国の映画祭で高い評価を受け、こうして全国公開される運びとなった。堀江監督は全国公開にこぎつけたことについて「本当に夢みたいです」と偽らざる心境を吐露。

 冨家も「自主映画で始まって、撮影のクルーも数人で、上映できるのかどうかっていうのも全く分からない状態でしたが、僕も谷田さんも岩田華怜さんも、脚本が面白いので『とにかくいいものを作ろう!』と。とにかくいま目の前にあるものを1個1個ちゃんと作って、いいものができれば何とかなるんじゃないのか、という思いで監督の下、一丸で作っていた映画。海外で賞を獲ったり、全国でこんな展開できるようになるなんて、ちょっと想像していなかったです」と驚きを口にする。冨家と言えば、本作と同様に単館での上映からスタートして、いまや全国公開されるに至り“奇跡の自主映画”とも言われている『侍タイムスリッパー』にも出演しており、二作続けての“下剋上”を達成しているが、こうした状況について「インディーズで1館から上映された映画が広がっていくというのは想像もしていなかったけど、逆に言うと、良い時代になったと思います。昔ならば埋もれていて、誰も知らなかったと思いますが、観た方がSNSで『面白かった』と言ってくださることで世の中を変えていく、世の中に出なかったものが出るようになる。人の力ってすごいなと思っています」としみじみと感慨を口にした。

 谷田は、キャスティングディレクターを介してオーディションに誘われ、冨家さん演じる主人公のタクシードライバー・遠藤の仲間のドライバーのタケちゃんを演じることになったという。谷田は「いまだから言いますけど、実は僕は、監督と一緒に(他の役の)オーディションに参加させていただいていました。遠藤のオーディションでもなぜか返答を読んだりして、監督から『誰が良かったですか?』と聞かれて『俺の一存で決まるのかな……?』と思ったりしました(笑)」と明かし、笑いを誘う。

 そんな谷田について、冨家は「撮影に入る前に、部屋を借りてリハーサルをした日があって、その時に初めて谷田と会ったんですけど、最初に見た瞬間に『タケちゃんだ!』と思いました」と明かし、堀江監督も「撮影のセッティングをしていると、二人が長年の友達みたいに話していて『演技しないでそのままでいいから』という感じで撮らせていただきました」と、最初から長年の親友同士のように息がぴったりの二人だったとふり返る。

 畠山は、デビュー作となった本作への出演について「映画に出るってことはすごいなって思って……。すごくたくさん経験ができてよかったです」と述懐したが、冨家と谷田からは「一番堂々としていたね」「仕切ってたね(笑)」との声も上がり、会場は笑いに包まれる。冨家の印象を尋ねられると「やっぱり映画に出る人、俳優さんってすごいんだなと思いました、演技力が」と語り、冨家は「ありがとうございます(笑)」と一礼! 隣の谷田の「俺とは遊んでるだけだったよね(笑)?」との言葉に会場は再び笑い声に包まれた。

 また、本作は実際の被災地で撮影が行われたが、冨家は撮影について「台本を読ませていただき、撮影に入る何日か前に現地に行って、自分なりに『ここでこういうことが……』と心に刻みました」とふり返り、「この映画の本当の主人公は、映画の奥にいる何千、何万という小さなろうそくだと思っています。僕ら出演者6人は、そのろうそくから小さな火をもらい、灯しているんだと。映画であってドキュメンタリーではないですが、嘘だけはつかずに芝居をしよう、真摯に取り組まないとダメだと思い、そこだけは心にギュッと秘めて、ろうそくから分けてもらった炎を燃やしながら撮影に臨んでいました」と思いを語った。

 そして、この日は、監督がニューヨークで自らカメラを回して撮影した、ニューヨークに留学中の岩田華怜からのビデオメッセージも披露された。岩田は「私自身、2011年の3月11日に仙台市内の自宅で被災して、そこから13年間、いろんな想いを抱えて活動してまいりました。自分よりもつらい思いをした人たちをそばで見ていて、何もできない自分に不甲斐なさを感じた日々もありましたが、今回この映画に出合って、故郷の話を全世界に伝えたいと思って参加しました。生きていたらきっとつらいことや、忘れられないあの日、許せない自分みたいなのってあると思うんですけど、この映画を観てくれたそんな全ての皆さんの明日が少しでも明るくなればいいなと思っています」とメッセージを寄せた。

 冨家は、岩田のメッセージに「泣けてきちゃった……(苦笑)」とハンカチで涙をぬぐいながら、「岩田さんも仙台出身の方で、主役としての重責を担いながら、この撮影に臨んでいて……。その覚悟が現場でもありましたし」と声を詰まらせながら、主演の重責を担った岩田をねぎらい称える。そして「彼女の想いもそうですし、監督の想いもそう、キャメラマンの佐々木さんも仙台の方ですし、そういう人たちの想いが本当に詰まった作品で、僕も最初に観て、作り手の想いがいろんなところから出てくると、55分の作品ながらこんなに温かい作品になるんだなと思いました。いま、華怜ちゃんのニューヨークからのメッセージを見て、しみじみと『良い作品に出させてもらったな』と思っております」と語った。

 堀江監督は舞台挨拶の最後に、この日の劇場にも数多く足を運んでいる改めてクラウドファンディングの協力者の人々に「皆さんのご協力があって、ここまで来られました。改めて、ご協力くださいました皆さん、ありがとうございました」と感謝を口にする。そして「皆さんがいなかったら、この映画はできなかったんですが、これから、やはりまた皆様にお越しいただいて、この映画が広がっていかないと、なかなか観ていただけない地域もありますので、何卒これからもご協力いただきますようよろしくお願いします」と呼びかけ、温かい拍手の中で舞台挨拶は幕を閉じた。

 映画『最後の乗客』は10月11日(金)よりユーロスペース、池袋シネマ・ロサほか全国順次公開。

公開表記

 配給:ギャガ
 10月11日(金) ユーロスペース、池袋シネマロサ他全国順次ロードショー

(オフィシャル素材提供)

関連作品

スポンサーリンク
シェアする
サイト 管理者をフォローする
Translate »
タイトルとURLをコピーしました