イベント・舞台挨拶

『追想ジャーニー』公開記念舞台挨拶

©『追想ジャーニー』製作委員会

 映画『追想ジャーニー』公開記念舞台挨拶が11月12日(土)、東京の池袋シネマ・ロサで行われ、主演の藤原大祐、共演の高橋和也、メガホンをとった谷健二監督が登壇した。

 48歳の売れない俳優はある日、30年前に出て行った母親に呼び出され病院に行くが、声を掛けられずに帰ってしまう。その帰り道で“退行睡眠”と書かれたメモを見知らぬ高校生に渡され、導かれるように怪しいお店に入り、白衣の男に催眠を掛けられると、目の前には高校生の自分が立っている。そして、男の追想の旅がいま始まる。

 自身の役を演じての感想を求められると、本作で映画初主演を果たした不思議な体験をする主人公・文也を演じた藤原は「年齢と“スターになりたい”と目指しているところが自分と重なってしまって、ちょっとよくない夢を見ている感覚でした」と打ち明け、「僕は母親との関係はすごくいいんですけど、夢を目指しているけどうまくいっていない自分の未来を見ているような感じでヒヤヒヤしたんですけど、この台本のおかげでもっと頑張りたいなと思いました」と吐露。
 謎の男を演じた高橋は「何しろ3日間という短い撮影期間で、1日にこなさなければならないシーンがたくさんあって、まだ練習している段階なのに監督がどんどん本番に行くもんですから……。大祐くんは若いからセリフがどんどん入るけど、僕はおじさんだからそのペースについていけないんだよ……」と自虐的なコメントをして笑いを誘い、「僕にも売れない俳優、売れないミュージシャンの友だちがたくさんいます。そういう方たちが僕に教えてくれたことがたくさんあって、この謎の男という役も共感を持って、シンパシーを感じながら演じることができました」と打ち明けた。
 また、本作の内容にちなみ、自身にとっての“人生の分岐点”を尋ねられると、藤原は「僕は分岐点だらけですよ」と前置きをし、「1番大きかったのはこの世界に入ったことで、デビューしてもうすぐ3年を迎えるんですけど、デビューをしてこの世界に入ってから生活が一変したので、今こうして舞台挨拶ができていて、皆さんの前に出てっていうのが1番の分岐点でしたね」とにっこり。加えて、藤原は「さっき楽屋でも“きのこの山”か“たけのこの里”かというのも分岐点の1つでした」といい、どちらを食べたのか追求されると「終わったあとの楽しみにとっておきました。歯が茶色くなっちゃうのでまだ食べていません。ホワイトニングとかもたまにしているので」とぶっちゃけて会場を沸かせた。
 同じ質問に、高橋は「24歳まで“男闘呼組”というグループをやっていて、そのグループが活動休止になって僕はアメリカに行ったんですけど、アメリカで俳優とかミュージシャンをやって頑張っていこうと思っていたんですけど、当時付き合っていた彼女のお腹の中に赤ちゃんがいると分かって、そこが僕の分岐点でしたね」としみじみと回顧し、「(人生が)この映画と一緒なんだよね。ちなみに奥さんの名前も一緒なんだよね」と告白すると会場からどよめきが起きたが、谷監督は「そうなんですね」と他人事。続けて、谷監督から「(奥さんの名前を)発表してないですよね」と指摘されると、高橋は「発表してないけど、監督が(本作で)発表しちゃったじゃん」と突っ込んで観客を爆笑させた。
 続けて、高橋は「これは本当に不思議な巡り合わせで、同じストーリーが僕の中にもあったんですよね。だから脚本を読んだときに“ただごとじゃないな”って。撮影中に娘(役)が本当の娘と重なってしまって、彼女に言ってしまったこととか、いろいろなことを思い出してとっても切ない思いになったりして大変だったんですよ」と口をとがらせつつ、「映画の中でそういう体験できるというのは、俳優としてすごく幸せなことで、滅多にないことなので、僕としてはこの作品は幸せな印象が強いですね」と感慨深げに語った。
 同じ質問に、谷監督は「僕がパンフレットを劇場に送ったんですね。そうしたら数が足りないって言われて、今日僕、手で持ってきたんですよ。めちゃくちゃ重くて汗びっしょりになったんですよ」と明かして笑わせ、「あのときにもうちょっと送っておけば今日苦労しなかったなという分岐点です。皆さんぜひ購入してください」とちゃっかりアピールした。
 さらに、家族や周りの人に対してつい言ってしまって後悔したことはあるか聞かれると、高橋は、俳優業に憧れを持った当時小学生の娘がオーディションに落ち続けたことがあったことを明かし「『お父さん、どうして通らないのかな』って聞かれて、俺は同業者として『自分に魅力がないからだよ』って言ってしまったんです。プロの意見としてはそうなんだけど、娘がフッと下を向いて『私って魅力ないかな……』ってつぶいたときに“うわっ……なんてこと言ったんだ!”って」と後悔したそうで、「プロとしては『自分が魅力的じゃないと選んでもらえないんだよ』という話をしたんだけど、ひまりちゃん(娘役の伊礼姫奈)と一緒に芝居しているときに、そのことをたくさん思い出して“嫌な職業だな”って思った自分もいましたが、それでもこの映画で最後にお母さんから言われるセリフを聞くたびに、自分がやってきたことは間違っていないって励ましてもらえるので、すごいセリフを書きますね、監督」と谷監督を絶賛。しかし、谷監督は「脚本やってないですよ」と告白して再び大爆笑させ、高橋は「監督書いてないの? 監督脚本じゃなかったっけ?」と目を丸くしていた。
 なお、藤原はまだ反抗期が来ていないそうで「これから来ると思って準備しています」と言いつつ、「それこそ1人暮らしを始めて、母と別で暮らすようになったので、会わない分、逆に仲良くなりましたね。すごく頻繁に連絡をしたりしているので、もしかしたら(反抗期は)来ないかもしれないです」と笑顔で語った。

登壇者:藤原大祐、高橋和也、谷 健二監督

(オフィシャル素材提供)

公開表記

配給:セブンフィルム
池袋シネマ・ロサほか全国順次公開

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