登壇者:岩田華怜、冨家ノリマサ、長尾純子、谷田真吾、畠山 心、堀江 貴(監督)
クラウドファンディングで製作費を募り撮影され、今年3月に仙台の一館の映画館で公開が始まり、その後、世界各国の映画祭で絶賛され、改めて10月11日より全国公開された映画『最後の乗客』。上映時間わずか55分の映画が、いま人々を感動の渦に巻き込んでいる。本作のヒットを記念して、11月3日(日)に大ヒット御礼舞台挨拶が池袋シネマ・ロサにて行なわれ、留学中のニューヨークから緊急帰国した主演・岩田華怜をはじめ、共演の冨家ノリマサ、長尾純子、谷田真吾、畠山心、そして堀江貴監督が登壇した。上映が終わると、客席からは自然発生的に温かい拍手がわき起こる。ニューヨークから一時帰国を果たしたばかりの岩田は「ただいま戻りました!」と笑顔を見せた。ニューヨークでもSNSなどを通じて感想の声を受け取り、盛り上がりを感じていたそうで「ちゃんと届いていました!」と嬉しそうに語る。
冨家は「こんな満席の中で、監督と精魂込めて作った映画を観ていただけるって本当に幸せです」と感慨深げ。長尾は10月にシネマ・ロサで行なわれた初日舞台挨拶の際も感極まった様子を見せていたが、この日も客席の温かい反応に胸がいっぱいになり、思わず涙。「今日は絶対落ち着いてできると思ったんですけど……(苦笑)、皆さんの顔を見たら……感無量になってしまいました」と感激を口にしていた。
監督の堀江は「今回、この熱気や感動をどうしても肌で感じてほしくて、岩田さんを口説き落として来ていただきました」と語り、凱旋の拍手喝采を浴びた。
岩田はこの日、劇場前でチラシ配りなども行ない、お客さんと言葉を交わす機会もあったそうで、監督の言葉通り肌で観客の熱気を感じたよう。「何人かの方とお話をさせていただいて『2回目です』、『3回目です』という方もいて、中には『7回目です』という方もいて……皆さんの人生の貴重な55分を何回も使っていただき感謝の気持ちでいっぱいです」と喜びと感謝を口にする。今回の帰国については「(本作の盛り上がりをニューヨークでも感じて)私もずっと帰ってきたかったんです! でも『3年間、頑張ってきます。バイバイ!』って言って『3年のビザが取れました』って言ったので『ニューヨークで頑張らないと……』と思っていて……。でも、監督から『絶対に帰ってきたほうがいいです』と言われて『帰ります』と。友達や周りのみんなからは『早くない?』って(苦笑)。でも、それくらい皆さんにお会いしたかったし、帰ってきて本当によかったと思います」と経緯を明かした。
オーディションを経て、本作のみずき役を勝ちとった岩田だが、監督の堀江は「仙台出身の方が東京で頑張っているとお聞きして、(オーディションで)演技をしてもらったら、その瞬間に『みずきがいる!』という感じで、 絶対にこの人にやってもらいたいと思いました」と当時の印象を明かす。対する岩田も「今でもその日のことは覚えています。故郷・仙台を舞台にした作品で、台本を読ませていただき『これは絶対にやらせていただきたい』という気持ちが強かったです。(オーディションの演技は)感情を出すシーンで『絶対に私がやります!』って勢いだったんで、怖すぎて監督も断れなかったんじゃないかと(笑)」と懐かしそうに振り返った。
2021年に行なわれた撮影について、岩田は「時間が経てば経つほど、夢だったんじゃないか?と感じます。撮影時間は深夜で、周りに誰もいなくて、耳をすませば波の音が聴こえる静かな場所で……私たちだけ違う世界に切り離されていたかのような錯覚に陥りませんか?」と語ると、冨家もその言葉に同意し「幻想的で、ここと向こうの端境(はざかい)で撮影してるような……。霧が立ち込めていて、私たちも生きているのかどうなのかと不思議な気持ちになる時がありました」とうなずく。谷田は「(撮影が行われた)11月の仙台の深夜は寒くて……みんなブルブルと震えていました」とふり返ったが、冨家が「ダウンコートをスタッフさんが用意してくださったんですけど、(サイズが小さくて)谷田さんだけ入らなくて……(笑)」と暴露し、会場は笑いに包まれた。
久々の岩田との再会となった冨家は「大人になって、すごくキレイになってしまって直視できない」と照れくさそうに語り、「ちょうど(ニューヨーク滞在)4ヵ月のかぶれ具合です(笑)」と岩田が返し、再び会場は笑いに包まれていた。
長尾は本作を取り巻く熱気に「上映がどんなふうにされるかも未知数のまま、幻のような撮影を経て、2021年に撮った作品を2024年のいま観ていただいていることに実感がわかない、不思議な気持ちです。私たちよりも皆さんのほうが作品を理解してくださって、一人ひとりの方が宣伝してくださる――お客さまが育てていってくれている感じがして、とにかく幸せです」としみじみと語る。長尾の言葉に谷田は「このシネマ・ロサでも、長尾さんが率先してチラシを配ったり、お客様のお見送りをしてくださったりして、そういうことが(この盛況に)繋がったと思います。本当にありがとうございます」と語り、会場に温かい拍手がわき起こった。
撮影時は小学1年生で、いまは4年生となった畠山の元にも、周りからさまざまな感想や反響の声が届いているそうで「私の友達のお母さんや親戚が観に来てくれたりして、手紙を送られたりして『(演技が)自然で良かったよ』とか『うまいね』と言ってもらえて嬉しかったです」と明かしてくれた。
改めてニューヨーク留学を決意した理由や、現地での生活について尋ねられた岩田は、「実はその昔、アイドルをやらせていただいていましたけど(笑)、その前からミュージカルをやりたかったし、ずっと女優になりたくて、AKBのオーディションでも『ブロードウェイの舞台に立ちます!』と言って審査員の方たちに苦笑いされたんですが……(笑)。映画も好きでニューヨークとロサンゼルスで悩んだんですけど、最初は憧れのニューヨークにまず行ってみようと決めました。4ヵ月が経ったけど、あっというま過ぎて『時間ってこんな早く過ぎるのか!』と毎日が闘いです。ふがいなさに涙を流す日々ですが、その倍くらい楽しくてしょうがない充実した日々を過ごしています」と力強く語った。
監督の堀江は、気になる次回作の予定について、日本のちんどん屋を連れてルート66を渡るというドキュメンタリー作品を手掛けていることを明かし「いまちょうど粗編が終わったので、これを完成させて来年、またここで上映させてもらいたいです」と意気込みを口にした。
最後に登壇陣を代表してマイクを握った岩田は「この映画は、最初は監督が一人で筆をとり、メガホンを取り、そこからひとりずつ仲間が増えていった映画です。いま、目の前にこの景色あることが本当に幸せで、信じられない思いです。この舞台挨拶があるのも、皆さんの熱い応援のおかげです。これまでも奇跡の連続で、『奇跡を起こした』と言っていただけていますが、私はまだまだいけると思っています。日本全国から世界へと届けられるように、もっともっと、大きな奇跡が待っていると信じておりますので、どうか引き続き、みなさんのお力を貸していただけると幸いです」と呼びかけ、会場はこの日一番の熱い拍手に包まれた。
『最後の乗客』はユーロスペース、池袋シネマ・ロサほか全国で大ヒット上映中。
公開表記
配給:ギャガ
10月11日(金) ユーロスペース、池袋シネマロサ他全国順次ロードショー
(オフィシャル素材提供)