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『敵』第37回東京国際映画祭 公式上映後舞台挨拶/Q&Aイベント

© 1998 筒井康隆/新潮社 ⓒ2023 TEKINOMIKATA

 登壇者:長塚京三、吉田大八監督

 日本文学界の巨人・筒井康隆の同名小説を『桐島、部活やめるってよ』『騙し絵の牙』の監督・吉田大八が映画化した新作映画『敵』が、2025年1月17日(金)より全国公開する。

 11/4(月)に主演の長塚京三と吉田大八監督が、映画『敵』東京国際映画祭 公式上映後舞台挨拶/Q&Aに登壇した!

 祝日の夜、夜遅くの上映にも関わらず、満員御礼で誰も席を立つことなく実施された舞台挨拶。Q&Aでも次から次へと質問が上がり、多くの観客とのティーチインが実施された。上映後に登壇した主演の長塚は「余計なことかもしれませんが、今年で僕が映画俳優になって50年目だそうで。今日こうして皆さんが映画を観てくださったことも、お祝いの一つとしたいです」と拍手喝采の中で挨拶。

 一方、吉田監督は、本作の制作経緯に触れながら「ある程度自分がこれからどのように歳をとっていくのかと想像し始める年齢になって、そんな時に筒井さんの原作小説を30年ぶりに読み直しました。僕は物事を考える時に自分でそれを映画化することで深く考えることができるので、まずはなんとなく脚本化してみました」と明かし「この映画は自分にとっても社会にとっても大事な問題を考えるきっかけになったと思う」と実感を込めた。

 本作への出演オファーがあった当時を振り返った長塚は「まるで私を当て込んで作ったような話のようで、これも何かの縁だと思いました。吉田監督自ら脚本を携えて会いに来てくださって、即答でお引き受けしました」とニッコリ。
 これに吉田監督は「当初は原作者の筒井康隆さんを想像して脚本を書いていたが、途中から長塚さんが儀助のイメージとして浮かび上がってきて、そこから長塚さんが動き出して止まらなくなった」と当て書きだと認めた。吉田監督は脚本執筆中に長塚の著書を読んだそうで「長塚さんの書かれた本を何冊か読んだ時に、儀助のモノの考え方が長塚さんの書かれたものを通してズシッと響いた気がした。儀助がここにいるとの確信を抱いたのはその時。長塚さんが『当て込んで作ったようだ』というのはその通りです」と長塚のパーソナルな部分に影響を受けて脚本執筆が進んだことを明かした。

 本作では、儀助の大学の教え子を瀧内公美、バーで出会う大学生を河合優実、元妻を黒沢あすかが演じているが、現在79歳の長塚は「3人の女優さんはいずれも妖艶な方々。僕の主演映画は今回12年ぶりでそれまで映画に出ていなかったわけではないけれど、近しく今を時めく女優さんとお芝居をしたことがなかったわけで。今回3人のウルトラ妖艶な素晴らしいピカピカの女優さんたちを独り占め出来て幸せでした」とユーモア交じりに実力派女優たちとの共演を回想し「これは誰にお礼を言ったら良いのかなあ?」とジョークを飛ばして笑わせた。

 また、本作のモノクロ撮影に触れて吉田監督は「モノクロ映像にすると物語の没入感が凄い。後半は特にモノクロ映像が効果的だと、完成したものを観て感じた」と手応えをにじませた。続いてモノクロとカラーでの芝居の質の変化について聞かれた長塚は「基本的に変わりはありません」としながら「モノクロでやるというのは撮影が始まって初めて知ったので……驚きました」とまさかの舞台裏を明かしていた。

公開表記

 配給:ハピネットファントム・スタジオ/ギークピクチュアズ
 2025年1月17日(金) テアトル新宿ほか全国公開

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