イベント・舞台挨拶

アニマル画家「石村嘉成」自伝的映画誕生『新居浜ひかり物語 青いライオン』全国公開記念舞台挨拶

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 登壇者:石村嘉成、小林章子、石村和徳、檀ふみ、竹下景子、三好聡浩監督、平松咲季監督
 MC:八雲ふみね

 先月、石村嘉成の地元・愛媛で先行公開を行い、ミニシアターランキングで5位を記録している映画『新居浜ひかり物語 青いライオン』の全国公開がいよいよスタート! 主人公として本人役でも映画初主演を果たした石村嘉成をはじめ、小林章子、石村和徳、檀ふみ、竹下景子、そして、三好聡浩監督、平松咲季監督が満席となった都内の劇場に登壇し、全国公開記念舞台挨拶を行った。ステージ上には石村嘉成が映画のために描いた「ブルーライオン」の絵画が設置され、初日を彩った。

 MCの紹介で登壇した石村嘉成は、既に感極まった様子で涙を浮かべながら、「皆さん、こんばんは。お母さんのおかげで、こんな立派な映画ができました。お母さん、ありがとう!」と感謝を述べると、客席からは大きな拍手が沸き起こった。

 嘉成の母・有希子を演じたRSKアナウンサーの小林章子は、「今日は、こんな満席の中で舞台挨拶をさせていただけるのを感激しています。きっと、嘉成さんのお母様の有希子さんが喜んでいると感じています」と話した。

 檀ふみは「嘉成さんのお母さんが療育によって子どもが成長することができると知って、その療育の先生を演じました。(竹下)景子さんもそうだと思うのですが、ここのどこかに嘉成さんのお母さんがいらっしゃるのではないのかなと、このような場に立つとしております」と挨拶。

 竹下景子は「嘉成さんが入学する公立の小学校の校長先生をさせていただきました。嘉成さんが入学するにあたって、ご両親は本当にいろんなご苦労があったうえでのご決断をされて、その後押しをするという、私にはとても難し役でしたけれども、大変良い経験をさせていただきました。こうして皆さんと一緒にこの日を迎えることができて、私自身も胸がいっぱいです。(壇上の絵画を見ながら)そして、この<ブルーライオン>。嘉成さんと出会った時に初めてこの絵を見せていただきました。この力強いライオンの眼力に圧倒されました。その作者の嘉成さんの生い立ちがこの映画では十分に描かれています。どうぞ最後までごゆっくり御覧ください」と挨拶した。

 嘉成の父・和徳氏は「東京の、こんな立派な劇場で舞台挨拶、そして大女優さんたちと一緒に舞台に立てるなんて、亡くなった有希子が見ていると思うんですけど、どれだけびっくりして、どれだけ喜んでいるかを思います。重度の自閉症に生まれて大変だった息子がどのように日常生活を獲得することができたかというすごく肝な部分を檀さん、竹下さんという大女優さんに演じていただきました。そして、そこもこの映画の肝になります」と涙を流しながらも挨拶した。

 共同監督のRSKの三好聡浩監督は、「大学4年間、池袋沿線で過ごしたので池袋にはすごく思い出があり、その池袋にあるシネマ・ロサから全国に発信できるということはとても素晴らしい、嬉しいことです」。また共同監督のもう一人平松監督も、「大学時代に江古田に住んでいて、池袋シネマ・ロサにも何度も通わせていただいたので個人的にも嬉しく、また、全国で公開できるということでホッとしている気持ちもあり、嬉しいです。楽しんで見てください」と嬉しさを滲ませ挨拶した。

 続いて、嘉成くんを一番近くで見守っている母親役を演じた小林は、今日アーティストとして成功された原点はどこにあると感じているかという質問に「有希子さんのお力がとても大きな影響を与えているんだろうなと感じます。実は、RSKの報道部で記者をしながらの演技初挑戦だったので随分悩みましたが、嘉成さん、お父様の和徳さん、そして有希子さんに生前に関わった多くの方に有希子さんがどんな女性だったのかを伺いながら役を作っていったのですが、皆さん共通しておっしゃるのは、有希子さんは本当に強くて、ブレない女性だったということでした。当時の20年ほど前は、今ほど自閉症児への療育に社会の理解がなかったと思いますが、そういう中で叱らないけど譲らないという療育を貫き通すというのはすごく大変なことだったと思います。それをブレずに続けられたというのが、今の嘉成さんの活躍につながっていると思いますし、今の嘉成さんの中に、有希子さんそのものかもしれませんが、いらっしゃってブレない強さというのを嘉成さん自らも実践されていると思います。だからこそ、このような素晴らしい作品が、どんどん世に出ていってるんだと感じています」と熱く語った。

 この映画の大きなテーマの一つである療育だが、嘉くんの成長を見守る療育の先生役を通して療育についてはどう感じていますかと聞かれた檀ふみは、「この作品では触れていないのですが、実は、私が演じた先生も自閉症児のお母さんでいらっしゃって、子どもを育てるにはどうしたらいいのかを自分で考えられました。自閉症児の頭でダメになっている部分もあるけど、だめになっていない部分もある。それをどうやって伸ばして行けば良いかってことをすごく考え、素晴らしい療育というものを作り上げていった人です。自閉症児を育てた母親であって、その人が厳しく、温かく嘉成くんを見ていたということでございます」と、貴重な話を披露した。

 小林演じる母・有希子さんとのやり取りがとても印象的で、今日の嘉くんを導いた有希子さんの人間力を、役を通じてどのように感じているかと聞かれた竹下景子は、「小林さんがおっしゃっていましたが、ブレない強さがある有希子さんを脚本を通して、そして現場でも同じように感じました。なかなか公立学校という場で嘉成くんのようなお子さんを預かるのは、現場の人たちにとっては責任が伴うことなので簡単にはお返事ができなかったというシーンがあるのですが、嘉成くん自身というよりも、むしろ嘉成くんと一緒に育っていく子どもたちのためにそういう環境をつくることが大切だということに、私も共感しました。そういう考え方がもっと広まって、いわゆる障害を持っている子どもたちという線引ではなく、それよりももっと一緒に歩める場所があることを、ともに考えていくことが大切なんだということをこの映画を通じて、あらためて学んだと感じています」と強い思いを話した。

 映画の中の有希子さんをご覧になってどんな気持ちだったかを聞かれた父・和徳氏は「ずっと取っておいていた家内の洋服を、今回、小林さんに来ていただきました。20年前の服ですが、ほとんどのシーンで家内の服を着てもらっています。髪型も同じにしてもらっていたので、チラチラっと見るたびに、“あっ!有希ちゃんがいる!”って感じるシーンが何度もありました。現実は19年前に亡くなっているのですが、私にも思い出させてくれたり、こういう場で有希子、有希子と言っていただいたり、いろんなところで皆さんの心に残っている、その時点でまだ生きてると私は感じています。とても幸せなことだと思います。当時の有希子がこんな感じだったと見ていただけたらと思います」と、声をつまらせながら話した。

 映画監督として本作がデビューとなる三好監督と平松監督は、日本を代表する女優たちとの現場を振り返り、三好監督は「『新居浜ひかり 青いライオン』の撮影は、檀さんと竹下さんの撮影が事実上のクランクインで、そこを皮切りに撮影が始まりました。RSK初めての映画製作ですから、私たちも全く作ったことがなく、正直、RSKに映画が作れるのかと、なかなか自身が持てないまま準備をして、そこに檀さんと竹下さんにお越しいただいた現場でした。至らない点が多々あったと思うのですが、嫌な顔ひとつなさらず、本当ににこやかに撮影に望んでいただいて、わたしたちの緊張もほぐしていただいて、お二人のオーラで現場を包みこんでいただきました。“RSKさん、映画を作れますよ”とお二人に魔法をかけていただいたように思います。本当に感謝しています」と話すと、会場から大きな拍手が起こった。
 平松監督は「お二人とは編集で主に関わらせていただいたのですが、撮影された映像を見た時に、ドンと重いパワーのあるシーンだと感じて、より良い作品にしなくてはと改めて感じました。台詞も一言一言重みのあるものになっていました。ご覧になる前なので詳しくは言えないのですが、お二人のシーンはしっかりと目に焼き付けて欲しいと思います」と当時を振り返った。

 また、見どころを聞かれた小林は「この映画はドキュメンタリーとドラマが融合しているのが大きな特徴だと思います。ドキュメンタリーの部分の嘉成さんが非常に朗らかに、明るく、そしてブレない強さを持ち続けている。そんな嘉成さんの魅力を感じていただきたいと思います。そして、この<ブルーライオン>のような作品も散りばめられているので、そこも、ぜひ、ご覧いただきたいと思います」と話した。

 檀は「ドラマの部分を見ていると、有希子さんがほとんど頑張っている、有希子さんが一人で奮闘していて、お父さんがちょっと寂しい感じなんですが、その有希子さんが亡くなられてからのお父様の寄り添い方にも思いを馳せていただくと素晴らしいのはないかなと思います。やはり御夫婦で育て上げた素晴らしい息子さんだと思います」と石村親子に優しい笑顔を送った。

 竹下は「私自身、療育という分野をこの映画で初めて知りました。ふみさんが演じられている先生ご自身の話も伺いましたが、そういう方がいらして、子どもたちの未来が開かれていったということを、これからご覧になる方にも心に留め置いていただきたいと思います。私の周りにも自閉症を持っていて、でも同時に素晴らしい才能を開花させている子どもたちがいます。そういう子どもたちのためにも、皆さんの更なるご理解をいただければと思います。そして、その嘉成くんの難しい幼少期を演じてた少年が二人いるんですけど、とっても難しかったと思うのですが、監督の演技指導は流石ですね。わたし、本当に感心しました。活き活きと、そして嘉成くんと似てるんですよ! 本当に小さい坊やと小学生。こうやって大きくなっていったんだなとしみじみと伝わってきました。見どころを一つに絞れませんが、ぜひ、お楽しみにご覧ください」と、小さな共演者も称賛した。

 そして、嘉成さんは「ライオンみたいに優しくて、強い人になるようにとお母さんと約束しました。この映画はお母さんが作ってくれました。お母さん、ありがとう」というと、会場から拍手が沸き起こった。

 父・和徳氏は「自閉症をテーマにした映画やドラマはこれまでにいくつもあったと思うのですが、療育にスポットをあてた映画だと思います。そして、我々がおこなってきた療育というのは、あまり一般的ではない療育です。当時も、今でも一般的ではありません。今本当に困っていらっしゃる方がたくさんいますので、選択肢の一つに入れていただきたいです。この自閉症の療育というのはじつは普通の子育てにも大きなヒントがあると思います。自閉症、発達障害の療育にのみならず、いろんな子育てにこの療育がもしヒントになったり、活かしてくれれば本当に幸いです。そのあたりもご覧いただけたら、家内が頑張ってきた意味もあるし、それに応えてきた息子にも意味があると思います。どうぞよろしくお願いします」と熱く語った。

 最後に、三好監督は「本編のクライマックスのあたりのドキュメンタリー・パートで、去年の夏、愛媛県松山市の愛媛県立美術館で開かれた個展の最終日に嘉成さんがお客さんのまえで感動的なスピーチをされてる映像があります。彼の成長を証明する一つの到達点、エポック的な瞬間を捉えた映像です。映画のクライマックスを飾る素晴らしいシーンですが、実はその映像は私たちが撮ったものではなく、他局、しかも系列も違う南海放送さんからご提供いただいたい映像です。系列を超えてタッグを組むというのは珍しいことですが、これもきっと、石村嘉成さん、有希子さん、和徳さんのパワーが成せた技だなと思います。そんなことも踏まえてご覧いただけるとより味わい深くご覧いただけると思います」と話し、共同監督の平松監督も「RSKで取材を続けてきたドキュメンタリー映像とは別の貴重な映像も入れています。まだどこにも出ていないパワーのある映像なので、最後までしっかり見ていただけたらと思います」と力強く見どころを伝えた。

公開表記

 配給:福武観光株式会社
 11月15日(金)より池袋シネマ・ロサほか全国順次公開

 (オフィシャル素材提供)

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