イベント・舞台挨拶

『本心』公開御礼舞台挨拶

© 2024 映画『本心』製作委員会

 登壇者:池松壮亮、三吉彩花、仲野太賀

 日本映画界屈指の鬼才・石井裕也監督(『月』、『舟を編む』)の最新作『本心』が11月8日(金)に全国公開。原作は、「ある男」で知られる平野啓一郎の傑作長編小説「本心」。キャストには、池松壮亮、三吉彩花、水上恒司、仲野太賀、田中 泯、綾野 剛、妻夫木聡、田中裕子らが集結。本作は、“リアル”と“リアルではないもの”の境界が今よりもさらに曖昧になった世界を舞台に、亡くなった母の“本心”を知るためAIで彼女を蘇らせることを選択する青年・石川朔也と、彼を取り巻く人間の【心】と【本質】に迫る革新的なヒューマン・ミステリー。

 この度、11月20日(水)に公開御礼舞台挨拶が行われ、主演の石川朔也役・池松壮亮、三好彩花役・三吉彩花、イフィー役・仲野太賀が登壇した。池松と仲野が公の場で顔を合わせるのはNHKの大河ドラマ『豊臣兄弟!』の記者会見以来で、仲野と三吉は昨年の夏の撮影以来となる。仲野が本作の撮影に参加したのは2日間。その濃密な2日間の現場の様子について聞かれると、池松は「バッチバチでしたね(笑)。豊臣兄弟で三吉さんを取り合うみたいな……」とユーモラスに切り出し、三吉も「私のためにケンカしないで(笑)」と乗っかり、冒頭から会場は笑いに包まれた。気を取り直して、仲野は撮影の2日間について「基本的に穏やかな感じで、2人がどういう感じで現場を過ごしているのか分からなかったので、とにかく邪魔しないように、良い子に、目立たないように粛々とやっていました」と振り返った。池松は以前から公私にわたって付き合いの深い仲野の参戦が嬉しかったようで、「石井組だし、太賀が来ると和むし、あの日が一番楽しかったです。気の抜けない撮影で、いろんな方と対峙する役でしたが、太賀の時だけ緊張もゆるんだし、その後飲みに行って、そこで唯一、この撮影でホッとできました」と明かした。石井(裕也)組初参加の三吉も「傍から見ていても(現場が明るくなるのを)感じました。監督も池松さんも、仲野さんが来たことで『ウェーイ』みたいな(笑)、男同士の安心感を感じました」と述懐。2人の温かい称賛の言葉に仲野は「今日、来てよかった」と満面の笑みを浮かべた。

 一方、撮影本番ではアバター・デザイナーのイフィー役として仲野は凄まじいまでの存在感を発揮したようで、三吉は「イフィーってミステリアスで不気味でもある役。『ご飯を食べよう』という“あのシーン”でのテーブルからの反射が怖すぎて……(苦笑)。一生不気味だなこの人、みたいな感じでした」と本心から怖さを感じたと告白し、池松は、このシーンの仲野について、「2~3分、フリーで(カメラを)回してたけど、ずっと肉にレモンをかけていました」と本編のとある印象的なシーンの裏話を証言。

 さらに、池松は仲野のキャスティングについて裏話を披露。「イフィー役をどうするかという話になって、石井さんの中で『困ったときの太賀』というのがあって、途中で役も変わったんです(笑)」と明かした。仲野は出演の流れについて「はっきりと(役が決まった状態で)キャスティングされている感じじゃなくて、(石井監督が)いろんなパターンを考えていらして、スケジュールも正式に押さえられないまま、台本も渡されないまま、『どうやら出るらしい』という噂を壮亮くんから聞くという、あまりないキャスティングの経緯で『本当に参加するの? どうなの?』というのもありつつ(笑)、ギリギリで決まりました。イフィーをやることも直前で決まった感じがあったので、正直かなり不安はありました。なかなかつかみどころのない役だし、朔也とのバランスも、全く違う人間だけど、通じるものが根底にある役で、なかなか僕としても挑戦でした」と振り返った。

 そんな仲野は、完成した映画のお気に入りのシーンを尋ねられると「山田孝之さんと千原せいじさんが……」と公開中の自身の出演作『十一人の賊軍』のネタを突如投下するも、池松から「あんまりウケてないよ。真面目に答えて」と冷たく流され、再び会場は爆笑に包まれた。しかもこのネタは池松が仲野に進めたという……なんとも仲良しなエピソード。改めて、仲野は「序盤で、妻夫木聡さんや綾野 剛さんが出てくる、朔也がVF(ヴァーチャル・フィギュア)というものを初めて知っていく流れの中で、田中裕子さんが演じる朔也のお母さまも出てきて、最後に壮亮くんが複雑な表情、感情があふれるあの一連の流れが好きでした。錚々たる俳優さんが畳みかけるように、見たことのないお芝居をしていて、最後の壮亮くんの全てを受け入れ切れない表情が強烈に残っています」と語る。そして池松はこのシーンについて「最終日に1日で撮ったのですが、妻夫木さん、綾野さん、田中さん……1日でこの3人とお芝居をできるって、幸せですよね。本当にラッキーだと思いながら、皆さんのお芝居を特等席で見られたのは朔也という役の特権だったと思います」と充実の表情を見せた。

 池松を以前から知る仲野は、本作だからこそ見ることができた“新しい池松さんは?”という問いに「この『本心』をつくるにあたって、クランクイン前から壮亮くんからも石井さんからも、経緯や作品に懸ける思いをずっとそばで聞いていたので、壮亮くんの映画に懸ける覚悟、気迫みたいなものが、普段とはひと回りもふた回りも違うものあるんじゃないか? だからこそ、普段はバラエティに出ないような池松さんをたくさん見られたと思う。宣伝活動もたくさんやられていて、覚悟を感じました」と語る。池松は「自分では分からないですけど」と照れくさそうな表情を浮かべつつ「ふと思い出したんですけど、石井さんにこの企画のことを話したすぐ後に、太賀にも話していて、太賀も(原作小説を)すぐ読んでくれたよね?」とかなり初期の段階で盟友の仲野にも企画について話をしていたことを明かし、改めて絆の強さを感じさせた。

 映画のストーリーにちなみ、本作の企画者のひとりでもあり、座長でもある池松の“本当の姿”について尋ねられると、三吉は「こんなにも丁寧な座長はいるのか?というくらい、すごいんです。現場でもいろんな方に目が行き届いていて、配慮をされていて……。1回も『性格悪そうだな』みたいなところが見受けられなくて、ちょっと悔しいというか、ネタを何も引っ張れり出せなかったです(笑)」と少し残念そうに(?)、池松の振る舞いを称賛。

 一方、仲野は「壮亮くんは、俳優一筋で、誰しも認める素晴らしい俳優さんだと思うけど、たしか上京してきた時、ギター1本持ってきて上京したんですよね? なぜかギターだけ持って上京するという、尾崎 豊みたいな……」と知られざる池松の上京エピソードも飛び出した。池松はその理由を問われ、「ひとり暮らしってやっぱりギターかなと思って……(笑)」と説明したが、仲野は「こんな“俳優一筋”を絵に描いたような人が、ギター1本だけ持って上京ってエピソードが面白い(笑)!」と語り、池松は「いまだに弾けなくて……」と苦笑交じりに告白。すかさず三吉からも「なんで持ってきたの?」と鋭いツッコミが飛び、池松は「触るのは太賀くらいです。上手なんですよ。僕は弾けない……」と申し訳なさそうに語り、三吉は「どういうこと(笑)? 不思議な2人」と笑みを浮かべていた。

 その後は、観客からの質問に3人が回答。ここでも仲野が、客席で“太賀”と書かれたプレートを掲げるファンの女性について「姉です」と語った直後に「嘘です」と明かし三吉が「本当にヤバすぎ(苦笑)!」とあきれ顔でツッコミを入れるなど、最後まで和気あいあい(?)とした雰囲気でトークは進み、会場は温かい空気に包まれた。

 最後に池松は「自分たちの幸福や、大切な方の幸福――これからの時代の幸福について考えるきっかけになったらいいなと思っています」と語り、さらに思い出したように「『十一人の賊軍』もよかったらぜひ観てください!」と付け加え、舞台挨拶は幕を閉じた。

 AIや仮想空間、日々著しく進化するテクノロジーが世界中を席巻し、生活様式が目まぐるしく変貌している今。時代・に翻弄され彷徨う人間の【心】と【本質】を描いた革新的なヒューマン・ミステリー『本心』をぜひ“今”劇場で見届けてほしい。

公開表記

 製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
 全国大ヒット公開中

(オフィシャル素材提供)

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