登壇者:MEGUMI(女優・プロデューサー)
司会:伊藤さとり(映画パーソナリティ)
世界的大ヒット作『ワンダー 君は太陽』から生まれた、もうひとつの物語『ホワイトバード はじまりのワンダー』の公開を前に、11月29日(金)よりTOHOシネマズ シャンテにて『ワンダー 君は太陽』の1週間限定の再上映がスタート。11月30日(土)の上映後にはタレント、女優、プロデューサーなど多彩な活躍を見せるMEGUMIが登壇してのトークイベントが開催され、母として、女優として、ひとりの女性として、さまざまな視点から両作の魅力について語ってくれた。
2018年に『ワンダー 君は太陽』が日本で公開された際、周囲の勧めもあって劇場に足を運んで観たというMEGUMI。「周りの友達が『泣いた! とにかく観て!』と勧めてくれて、私も当時、小学6年生の息子を持つ母として、それなりに子育てに悩んでもいたし、赤ちゃんの頃とは育て方を少し変えなくてはいけないフェーズでした。彼の人間関係が見えたり、見えなかったりするという恐怖心も少しありました。映画を観て、この家族のように彼を信頼して、母として社会に出すというのが、子育ての一番の大きな目的なんだと気づかされました。いま、(息子は)15歳になって、また難しい時期になっちゃったので(苦笑)、(今回のトークのために)もう1回観て、また母として感じ方が変わったのもありましたし、人としていまは40代になって、前回とはまた違った感覚を持っているところもありました。『あぁ、やっぱり強い人って優しいよね』と思ったり、自分もいまは現場で(年齢が)一番上だったりもするので、正しいことを言うだけではなく優しさに包んで、相手を見てきちんと伝えるということが、一番大きな強さなんだなということを感じました」と感慨深げに感想を口にした。
当時、劇中の主人公・オギー(ジェイコブ・トレンブレイ)と同じ年頃の息子を育てていた身として、ジュリア・ロバーツが演じたオギーの母・イザベルについては「あんなふうにはいられなかった……(苦笑)」と明かし「パパ(オーウェン・ウィルソン)もそうだけど、素晴らしい“セコンド”という感じがしませんか? 『君は素晴らしい!』、『君は強い!』、『君は太陽!』、『君は最高!』と彼を肯定する言葉を常に言うし、お父さんのユーモアのある接し方も、なかなかできないですよ。もし、子どもがいじめられたり、病気だったりしたら、自分も(気持ちが)落ちちゃうと思うんです。それをグッと抑えて『あんたは最高なんだから、行ってきなさい!』と。でも、オギーが背中を見せた瞬間には母としてあの表情……うまいよねぇ! と思いながら観ていました」と語った。
劇中の「正しいことよりも親切なことを選ぶ」という言葉、そして、それに続く「相手をよく見ろ」という言葉が「グッときました」と語るMEGUMI。映画の中では、激しいいじめの描写もあるが、いじめに対する向き合い方について「いまは、時代が複雑化していますけど、いじめている方も、魂の叫びというか、何かしらの“傷”があるから他者に刃を向けるんじゃないかと、今は感じます。その強さをいじめられているほうに持てというのは難しいですが、いまは『向こうには向こうの事情があるよね……』と思うようにしていて、大人の社会でも『私はこれが正しいと思う』と言いがちですけど、そうではなく、相手の正しいところも自分に取り入れていけばいいかもしれないし、自分が決して正しいわけでも、年下の子が正しくないわけでも、年上の人が絶対に正しいわけでもない。『この人にも事情があって、自分も正しくないかもしれない』というニュートラルな視点を持てばいいなと思っていて、その視点を得られてからは、あまり腹も立たなくなりました。ただ、子どもたちはまだまだそれが分からない。(いじめっ子の)ジュリアンの母親の(息子をかばう)気持ちもぶっちゃけ、分かるところもあるんだけど、ああいう経験を通して、彼にもう二度といじめをさせないようにしないといけないというのが親としての一番の目的なので、お母さんも感情をコントロールして、ちゃんと子どもに認めさせて、謝らせて『次に行きなさい』という目線、そのニュートラルさは両親には必要だと思います」と語った。
相手を“論破”することを良しとする風潮もあるが、MEGUMIは「論破で何かを表現するスターもいっぱいいて、子どもたちはそれを鵜呑みにして、達観してるところがあるけど、それはとても危険だと思います。オギーはきちんと社会に出て、傷ついて、耐えて、でも優しさを持って相手に示すという体験をしているのが素晴らしいし、いまの子どもたちは体験が減っているので、そこが心配だし、改めてうちの息子にも体験させなきゃと思いました」とうなずく。
この『ワンダー 君は太陽』の原作者が、劇中のいじめっ子・ジュリアンに焦点を当てて描いたアナザー・ストーリーを映画化したのが『ホワイトバード はじまりのワンダー』となる。ひと足先に『ホワイトバード はじまりのワンダー』を鑑賞したMEGUMIは「素晴らしいです!」と大絶賛。特に、映画の中でジュリアンに過ちを気づかせるのが、ジュリアンのおばあちゃんであることに触れ「親の言うことって素直に聞けなかったりするし、親って感情的になったり、過去を含めて息子のことを全部分かっているからこそ、伝えきれないところがある。そこで少し距離があって、愛もあって、ジュリアンのことをちゃんと知っている彼女だからこそ言えた――この距離感も素敵だし、本当にストーリーが壮大で、こうやってこういう伝え方でいじめを止めるって新しいアプローチだなと思いました」と同作の魅力を熱く語ってくれた。
さらに「究極の時――人が人に刃を向けたくなるような瞬間、弱くなったりする時に、優しくいるということが、こんなに人を変え、人を照らすことなんだと改めて感じたし、『こういなくちゃいけない』と強く、強く浴びた感じがしました。本当に素晴らしい脚本で、メチャメチャ泣けます。人生では、自分が良いと思っている人に理不尽なことをされる瞬間もあるし、逆に少し苦手だと思っていた人が、ひょんなことで自分に何かを与えてくれたりすることもある。そういうところを素敵に描いていて、人生の指針になる作品です」と強調。『ワンダー』を観た上で、この『ホワイトバード』を観ることで「“優しくいるのが、人として一番強い”という言葉が、もう2段階くらい、深く刺さってきます!」と呼びかけた。
MEGUMI自身、これまでに出会いによって救われた経験を尋ねると「私は、ないものを立ち上げることが好きで、グラビアやタレントをやった後に『私は女優になる!』と女優になったり、『プロデューサーをやる』とか『お店をつくる!』とかないものを作る、ゼロから1を作るタイプなんですけど、そういう人って基本、叩かれるんですよ(苦笑)。自分の声が届かない瞬間が、立ち上げの時ってあるんですけど、そんなふうにみんなに否定されている時に『メチャクチャいいじゃん!』、『面白そうじゃん!』と言ってくれる人も必ず一人くらいいるんです。そういう人の言葉のみでその瞬間、やれたりするんです。日本って、新しいものを否定する、“新しいこと=悪”みたいな部分があって、立ち上げる人間としてはちょっとしんどいんですよね。その瞬間に賛同してくれたことは一生忘れないし、手を差し伸べてくれた人には『何かあったら絶対に助ける』と思っているし、自分は立ち上げる人を見たら、必ずサポートすると決めています」と明かしてくれた。
トークの最後にMEGUMIは「年末に、今年を振り返ったり、ご自分と向き合う時間ができると思いますが、そんな時にこの映画を観ていただくことで、『いやいや、いかん!いかん! 私もこういうこと言ったり、やったりしてたな』と知れたり、こういう気持ちを理解して、人に触れたりすることは、自分にとっても幸せなことだと思います。ポジティブなエナジーを与えてくれる作品だと思うので、1年を締めくくる大切な時期に、ぜひこの作品と共にご自分と向き合う時間を作っていただけたらと思います」と語り、会場は温かい拍手に包まれた。
『ワンダー 君は太陽』再上映概要
上映期間:11月29日(金)~12月5日(木)
上映劇場:TOHOシネマズ シャンテ(千代田区有楽町1-2-2)
鑑賞料金:一般 1,500円、シニア 1,200円、学生 1,000円、障がい者割引 適応(1,000円)
※ 前売券、クーポン・割引券、無料券:使用不可
チケット購入:TOHOシネマズ シャンテ公式サイトにて
https://hlo.tohotheater.jp/net/schedule/081/TNPI2000J01.do(外部サイト)
映画『ホワイトバード はじまりのワンダー』は12月6日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ他にて全国ロードショー!
公開表記
配給:キノフィルムズ
12月6日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー!
(オフィシャル素材提供)