イベント・舞台挨拶

『ある船頭の話』初日舞台挨拶

©2019「ある船頭の話」製作委員会

 映画『ある船頭の話』の初日舞台挨拶が都内で行われ、柄本 明、川島鈴遥、村上虹郎と長編初監督を務めたオダギリジョーが登壇した。先日閉幕された第76回ヴェネチア国際映画祭の「ヴェニス・デイズ」部門への参加を皮切りに、韓国、カナダ、香港、ハワイ、エジプトなどの国際映画祭で上映される予定になっていることが発表された。

 本作は、文明の波や時代の移り変わりに直面し、橋の建設が進む山あいの村を舞台に、川岸の小屋に暮らして船頭を続ける渡し船の船頭のトイチの人生が、ある少女との出会いによって狂いだしていく様が描かれる。

 初日を迎え、オダギリ監督は「早く初日が来ないかな、もうちょっと待って欲しい。両方の気持ちがありました」と複雑な胸中を明かした。そして「今はもう開き直るしかないと思っています」と観客に評価をゆだねた。

 主演の船頭・トイチ役を務めた柄本は「人間らしさとは何か?を問いかける、志の高い素晴らしい監督です」と初監督を務めたオダギリに、称賛を送る。

 トイチを惑わせる少女役を務めた川島は、初の舞台挨拶に「ワクワク、ドキドキした気持ちでいっぱいです」と興奮が止まらない。

 トイチを慕う村人・源三役を務めた村上は「見栄えのする、かっこいい現場でした」と過酷だったという暑い現場を振り返った。

 第76回ヴェネチア国際映画祭には、オダギリ監督、柄本、村上が現地入りを果たした。観客の反応を聞かれたオダギリ監督は、「めちゃくちゃ良かったんです。あまりの反応の良さに恐縮してしまったほど……」と振り返る。さらに、「今だから言いますが、エンドロールが流れ始めるとすぐに拍手が始まってしまったのですが、エンドロールにも力を入れて作ったので、本当はエンドロールをしっかり観てから拍手してほしかった……」と客席に向かって素直な胸中を吐露した。

 今作には、オダギリとゆかりのある実力派のキャスト陣が集結。浅野忠信、蒼井 優、永瀬正敏などの豪華なゲスト俳優のほか、撮影監督のドイルをはじめ、衣装デザインには黒澤明監督『乱』でアカデミー賞©を受賞したワダエミ、音楽にアルメニアの世界的ジャズピアニスト、ティグラン・ハマシアンなどが顔をそろえている。

 当日は、オダギリに監督に挑戦することを決意させ、今作では撮影監督を務めたクリストファー・ドイルがドイル(『恋する惑星』(94)、『ブエノスアイレス』(97))から「日本映画の伝統に深い敬意が込められている。素晴らしい作品に乾杯!」と祝福のビデオメッセージが届いた。オダギリはドイルの監督作『宵闇真珠』(17)で主演を任されており、ドイルとオダギリの親交は深い。

 ドイルは、「ジョーは、映画への情熱を分かち合うチャンスをくれた。アイデアを形にする責任を共有し、撮影監督という形で私を関わらせてくれた」とオダギリへ感謝のメッセージを送った。オダギリ監督は「『ある船頭の話』は我々にとって、2本目の作品。『宵闇真珠』が1本目。“あと30本は一緒に撮ろう”と言われた」とドイルから撮影後にメールをもらっていたことを告白した。「言い方がオシャレでしょ? すごく嬉しい言葉でした。でも我々がそこまで生きているかどうか分からない……」と楽しそうに話した。p>

 映像をはじめ、音響などすべてに強い思い入れがあるオダギリ監督は、上映する劇場も自身で足を運んでチェックして選んだという。「クリスの画はでかい画面で観るのが一番いい。そしてとにかく音にこだわって作ったので、スマホやタブレットで観てもこの作品の良さは伝わらない。DVDが出ても買わなくてもいい。配信が始まってもダウンロードしなくてもいい。ぜひ、劇場で観て欲しい!」と力を込めてアピールした。

登壇者:柄本 明、川島鈴遥、村上虹郎、オダギリジョー監督

(取材・文・写真:Sachiko Fukuzumi)

公開表記

配給:キノフィルムズ/木下グループ
新宿武蔵野館ほか全国公開中

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