登壇者:中川可菜、高橋 改、保﨑 麗、阿部快征、弓削智久(以上、出演)、政成和慶(原作・脚本・監督)
映画『きみといた世界』は、日常では交わることのなかったコミュ障でぼっちの高校生・卓とクラスの人気者・碧衣が、他に誰もいない謎の世界に迷いこんだことで繰り広げられる青春SFラブ・ストーリー。
12月14日(土)、池袋シネマ・ロサにて初日舞台挨拶が実施され、中川可菜、高橋 改、保﨑 麗、阿部快征、弓削智久、政成和慶監督が登壇した。
中学生の時ニコラでデビューし、「ミニシアターで上映される映画で主演を飾りたかった」という中川可菜には、初日を迎えた感想を、W主演の高橋 改には、小学1年生の時に見ていた「仮面ライダーカブト」で1番好きだった弓削と共演するプレッシャーで、アルバイト中3枚くらいお皿を割ったというエピソード、“管理人”役の弓削智久には、“管理人”という肩書きだけではわからない役柄を演じたエピソード、舞台「黒子のバスケ」など2.5次元舞台を中心に活躍する阿部快征には、碧衣が好きだった佑太役の役作り、ミスFLASH2018グランプリの保﨑 麗は、エキストラに現役の中高生がいて気まずかったという話、政成和慶監督には、本作の設定の変遷などを聞いた。
主演の中川可菜は、ミニシアターで上映される映画で主演を飾りたかったそうで、「夢が叶いました!」と元気よく挨拶。同じく主演の高橋 改は、「小学生の時に叔父に連れられて、ロサに映画を観に来ていまして、本作で映画を引っ提げて帰ってくることができました!」と感慨深げに話した。
本作は、既存の漫画による映画化や映画のコミカライズではなく、自身の漫画を映像化したかったarawakaと、SFで青春ものの映画が撮りたかった政成監督によって共同でストーリーが考えられた。政成監督は、「一緒に物語を作ったarawaka氏は、毎週配信されている本作の漫画の執筆が大変で、広島に残って描いています」と不在の理由を説明。
物語の設定について監督は、「(最終的に)コミュ障の男の子が碧衣ちゃんと謎の世界に迷い込むという話になったんですけれど、最初は、空気を読みすぎてしまう女の子が、いつも教室で寝ている男の子と謎の世界に迷い込むっていう話を考えていました。160ページになってしまって、発想の転換をして、このようになりました」と話した。
中川は、演じた碧衣とご自身で似ているところを聞かれ、「似ているところは、高校生時代の私も碧衣も真面目だったところ。自分で言うのもおかしいですけれど、優等生だったんです」と話し、「碧衣のことをすごく好きなので、碧衣に出会えてよかったです」と演じた碧衣への愛を語った。
中川が、涙を流すシーンの撮影について、「泣くということは大変ではなかったんですけれど、6時間以上泣きっぱなしだったんです」と激白すると、監督は、私がカットを割るのが好きで」と弁明。中川は「もう泣けないってなりました。泣きたくても泣けなくなることってあるんだなと感じました」と実体験を話した。
高橋は、学生時代、演じた水野 卓と同じく、“ぼっち”だったそう。「高校2年の時にクラスに友達が一人もいないという状況に陥ってしまって……でも僕に友達がいなかった理由と水野君に友達がいなかった理由は違うので、直接的に役作りには使わなかったんですけれど、根底にある『羨ましい』とか『本当はみんなと一緒にいたいのに』という気持ちは多分水野君と共通しているので、滲み出るようなものはあったのかなと思います」と、過去の辛い経験を笑顔で話した。
共演した弓削智久は、高橋が自分の大ファンということを舞台挨拶まで知らなかったようで、高橋が、「アルバイトの日の朝に弓削さんと共演するというメールが来まして、本当に大好きな役者さんだったので、ぼーっとしてきて、気づいたら足元にお皿が3枚くらい割れていて……」と話すと、弓削は「え〜っ」とびっくり! 高橋は、「弓削さんは、私が5〜6歳の時に見ていた(水嶋ヒロ主演の)『仮面ライダーカブト』という作品で、三島さんという役を演じられていて、本当に私は三島が一番好きだったんです」と告白。弓削が演じた三島は変身をしない役だったため、弓削が「なんで三島が一番好きだったんですか? ちょっと悪役じゃないですか」と聞くと、高橋は「そこがかっこいいんですよ」と即答。弓削は「励みになります」と恐縮している様子だった。高橋が弓削はどのような存在かという質問に「永遠の憧れです」と答えると、観客も拍手で二人の共演を祝福した。
碧衣の親友の横山理奈役の保﨑 麗にとっては、念願の学園ものへの出演だった。「久々に制服を着られて嬉しかったのと同時に、気まずくて。20代前半で制服を着る機会は普通はないじゃないですか。現場に(エキストラとして)中高生がいらっしゃったので、きまずかったですが、青春時代に戻れて楽しかったです」と話した。上映後のサイン会では、「制服姿、自然でしたよ!」と観客から太鼓判をもらっていた。
保﨑は、監督にキャピキャピしてほしいと言われたそう。「あまりキャピキャピはしないタイプなので、テンションを上げなきゃいけないなと気を使いました」と撮影を振り返った。
阿部快征は、オーディションでは、本作で高橋が演じた水野 卓役を演じたそう。「オーディション会場が、ディスカッションをして楽しい雰囲気で、何が何でも監督を笑わそうと思って、椅子から転げ落ちたりして、『これは掴んだぞ』と思った」と話した。“ぼっち”には見えなということで、水野君の強力なライバルとなる、碧衣が好きだった工藤佑太役に。何を意識して演じたかと聞かれ、「このまんまでいきました。決してモテようと何かはしていません。素材そのままで挑戦しました!」と冗談まじりに話した。
管理人役の弓削智久は、「最初台本をいただいたときに“管理人”と書いてあって、マンションの管理人みたいに、じっとしていればいいのかなと思ったら、“異世界の管理人”でした。謎の世界を管理していく門番みたいなイメージです。衣装合わせの時に、衣装が黒装束というか、かっこいい感じだったので、監督とディスカッションして役を作っていきました」と回想。
CGのシーンはグリーンバックで撮影。「グリーンバックの撮影って難しいんです。『こういう感じで』と言われても、僕たちには緑しか見えないので、想像していくことが重要になっていく。想像力を使ってやっていきました」と話した。
初日に来場した観客に、阿部は「心温まるストーリーになっています。映画館はあったかいので、心も体もあっためて帰ってください」と伝え、最後に政成監督が「『きみといた世界』をどうか皆さんの手で盛り上げていただきたいです。この映画がもっと多くの人に観ていただけるように、映画が成長していければ嬉しいです」とメッセージを送った。
公開表記
製作・配給:BASARA
池袋シネマ・ロサ、長野千石劇場にて公開中 ほか全国順次公開
(オフィシャル素材提供)