イベント・舞台挨拶

『ルート29』トークショー

© 2024「ルート29」製作委員会

 登壇者:綾瀬はるか、森井勇佑監督

 映画『ルート29』の主演・綾瀬はるかと森井勇佑監督によるトークショーが1月30日(木)に東京・新宿のテアトル新宿にて開催。昨年11月8日の公開初日から2ヵ月以上を経て、公開後の今だからこそ話せるエピソードや本作の魅力について熱く語り合い、映画を観終えたばかりの観客からの質問にも答えた。

 綾瀬は、公開後に自身も映画館に足を運んで本作を鑑賞したそう。夜遅めの時間の上映だったとのことで「スーッと映画の世界に入れました。赤い服の女の人(伊佐山ひろ子)や高良健吾さんの親子が『不思議だな』と思いつつ見入れて、自分が演じているので、トンボがハル(大沢一菜)がいなくなって泣いちゃうシーンは一緒になって泣いちゃうし、すごく温かい気持ちになって帰りました」と笑顔で語った。

 森井監督自身、綾瀬さんが演じたトンボ(のり子)という人物に強い思い入れを抱いているようで「自分で書いたんですけど、(公開後に)見ると、もう客観的に見られるんですけど『この人、面白いな』と(笑)」と綾瀬さんが体現したトンボのなんとも不思議な魅力について語る。

 綾瀬は、撮影現場で監督にトンボの人物像について質問することはほぼなかったとのことで「不思議なまま『こういう世界、こういう人なんだな』と受け入れていました。客観的に見ると、すごく変な人たちだなと思うんですけど」と語り、森井監督は「自分で書いている時よりも、綾瀬さんが演じていることでどんどん面白くなっていきました」とふり返る。

 綾瀬は、トンボを演じる上で「インした日に監督が『僕は、“演じる”ということより、“そこに存在している”――そういう映画を撮りたい』とおっしゃっていたんです。アクションの練習をして積み上げていくような感じではなく、いままで自分が経験してきたことを全部、手放して『ただいる』、『考えない』という感じでした。監督の『(トンボは)持っている宇宙がすごく広い人だ』という言葉だけを大事にしていました」と明かした。

 印象的なシーンについて尋ねると、綾瀬は「ハルが高良くん(が演じた“森の人”)の息子と話しているシーンで、『お前みたいなんが学校にいたら違ったんだろうな』と言われる会話のシーンは、『あぁ、ハルみたいな友達がいたら確かにいいな……』って私も思いました。ハルって世間的な常識や『こうしなきゃいけない』ということを全然気にせずに自由で……。だからホテルで初めて不安なことを言った時『あぁ、そう思ってたんだ』と思ったんですけど、ハルみたいに生きれたらいいなと思いました」とハルのキャラクターに思いを寄せる。

 トークの後半には、観客とのQ&Aも行なわれ、トンボの足をダンゴムシがはうシーンがあるが、綾瀬は虫は平気だったのか?という質問に綾瀬さんは「平気でした。足のどこを通るのが良いかと、何回か撮りましたけど、(ダンゴムシが足をはうのが)気持ちよかったです」とニッコリ。現場で綾瀬は、大沢と一緒にさまざまな虫やカニなどを捕まえて遊んでいたそうで、虫が2人の距離を縮めてくれる貴重な存在になったという。

 これまで、人と必要最低限以上のコミュニケーションを取ろうとせずに生きてきたトンボが、誘拐まがいのことをしてまでハルを連れ出したのはなぜなのか?という質問には、森井監督は「運命的な“何か”を感じたんじゃないか」と語り、綾瀬は「のり子は人とコミュニケーションを取ることを積極的にするというより、自分の世界にいる人だから、(市川さんが演じるハルの母親に頼まれたことが)嬉しかったんですかね?」と推察。森井監督も「そう思います。ノートに『久々に人と話して、仕事を頼まれた』って書いてたので、何かに突き動かされたんだと思います」とうなずいていた。

 また、映画の中で効果音が非常に印象的だが、映画の中のお気に入りの“音”について尋ねられると、綾瀬は、フクロウの「ホッホー」という鳴き声を挙げ「フクロウの鳴き声でハルたちと会えるので、印象深いです」と明かす。この鳴き声に関しても、森井監督は「あれは半分、俺の声なんです。2つの音を合成していて、本物のフクロウと俺の声です」と明かし、これには綾瀬も「すごい! 上手でした」と驚いていた。

 撮影現場でのエピソードなども含め、映画についてより深く知ることができる貴重なトークイベントとなったが、綾瀬も森井監督もこの機会を存分に楽しんだよう。森井監督は「この『ルート29』という映画で綾瀬さんが演じてくださったのり子は、僕にとってもすごく好きなキャラクターになりました。それは綾瀬さんが現場で生み出したものだと思っていますし、いまだにどこかで生きているような感覚があり、それを切り取ることができて光栄でした」と改めて綾瀬への感謝を口にする。

 最後に綾瀬は「不思議な映画かもしれませんけど、もう一回見ると違って見えたり、言葉で言い表せないいろんなものを自然に受け取れている映画だなと私は感じています。夏の1ヵ月ちょっと、鳥取で撮ったんですが、監督とも一菜ちゃんともずっと一緒にいて、親戚みたいな感じで、暑かったですけどヌーの大移動みたいにみんなで移動して撮りました。監督とは同い年なんですけど、同世代の監督が撮る世界に飛び込めるのが嬉しかったし、いっぱい刺激もありました」と充実した表情で語り、会場は温かい拍手に包まれた。

公開表記

 配給:東京テアトル リトルモア
 全国公開中

(オフィシャル素材提供)

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