登壇者:祷キララ(仕草役)、平井亜⾨(佐伯役)、岡⽥詩歌監督
幼少期から思春期、⼤⼈になるまでのひとりの⼥性の恋愛経験を通し、⼈⽣で直⾯するさまざまな“呪い”をコミカルかつ⾟辣にあぶり出していく映画『恋脳Experiment』。本作の先⾏上映会が1⽉30 ⽇(⽊)に新宿シネマカリテにて開催され、上映前の舞台挨拶に、主演の祷キララ、共演の平井亜⾨、岡⽥詩歌監督が登壇した。
2023年9⽉のぴあフィルムフェスティバルでの初お披露⽬以来の上映となったこの⽇。仕草役の祷は「その年の6⽉に撮影で、9⽉にお披露⽬だったので、当時は気持ちの整理がついていなくて、“とにかく楽しんでくれたらいいな”と願う気持ちでした。あれから時間が経って、映画のことを改めて振り返る時間もできて。皆さんの⽣活に持ち帰ってもらえたらいいなと思うカケラがいっぱい⾒つかったような気がします」と現在の⼼境を吐露。
祷と、仕草の⼤学時代の恋⼈、佐伯を演じた平井は、映画『左様なら』以来5 年ぶりの共演。祷の印象が変わったかについて聞かれた平井は「ぶっちゃけ、キララちゃんの印象は変わってないです。10数⼈いる群像劇で、僕とキララちゃんは年下組だったんですけど、当時からキララちゃんは異常に落ち着いていて。今回久々に会ってもその感じは変わってなくて。僕、緊張するんですよ。キララちゃんにはいろんなものを⾒透かされているような気がして(笑)。2⼈で取材を受けたときも、『⾃分はなんて薄いコメントしかしてないんやろう?』と思いました。他の俳優さんにはない緊張感があるんです」とコメント。
それを「ほんまに?」と笑顔で聞いていた祷は、「亜⾨くんはより、突き抜けて⾃由になっているなと思いました。めっちゃ良い意味で、もっと変な⼈になってる(笑)。それは亜⾨くんの魅⼒だと思う。今回初めて亜⾨くんと『こうやってみたら⾯⽩いかな?』と話し合いながらシーンを作り上げていったりして、亜⾨くんの真剣な⼀⾯に触れた気がします」と振り返る。岡⽥監督は「祷さんは劇中でさまざまな男性キャストと共演していますが、平井さんと⼀緒の時は特にリラックスしていた印象でした。2⼈で撮影前にラジオ体操していましたよね」と撮影現場の微笑ましい⼀コマを明かした。
東京藝術⼤学でアニメーションを専攻し、これまでも⼥性性やジェンダーをテーマにした作品を作ってきた岡⽥監督。今回初めての⻑編実写映画への挑戦となったが「アート・アニメーションは⼀⼈で家にこもり、黙々と描き続ける作業が多いんですが、今回家の外に出て、皆さんと作品を作り上げていく時間はとても楽しかったです」と述懐。
そんな監督について、祷は「岡⽥さんは決断⼒のある⼈。全てが新しいぶん、きっと迷うこともたくさんあったんじゃないかなと思うんです。でも岡⽥さんは“迷うけど、ちゃんと決める”⼈。だから完成した作品を観ても、岡⽥さんの作品になっていると感じましたし、それが岡⽥さんの強さだなって」と分析。
そして本作のテーマである“恋愛についての呪い”にちなみ、「恋愛に限らず、⾃分にかけられていた呪いに気づいたことはあるか」と聞かれた祷と平井。祷は「⼦どもの頃から知らず知らずのうちに固定観念や常識に縛られていることってあるよね、ということで⾔うと、私は去年、⼈⽣で初めて海外に⼀⼈旅に⾏ったんです。今までは、⼥性だし20代だし、海外⼀⼈旅って危ない、してはいけないもの、私にはできないものだと思っていたんです。でも考えてみたら“海外には⼀⼈で⾏くことができる。ただし⾏った時には危険性も少しある”ということを、なぜか“⾏ってはいけない”と思い込んでいただけなんだなって。いざ⾏ってみたら、記憶に残る経験になりました」と呪いから解放されたエピソードを披露。
⼀⽅、平井は「29年間⽣きていると、振られることもあるんですよね。その後も、振られた時の相⼿の⾔葉を何度も反芻して、当時の⾃分を越えなきゃ!と思うんです。つまり恋愛の呪いって、僕にとっては良いふうにしか働いていない。というのも、普通に⽣きていたら、⾃分の⽋点に気づけなかったわけで。⾃分にとって恋愛の呪いは案外いいものかもしれないと思いました」と振り返った。
最後に登壇者を代表して、岡⽥監督は「この作品は恋愛についての呪いをテーマにしていますが、それだけじゃない、さまざまな固定観念が⾃分を蝕んでくるようなことも全部“呪い”として描いています。⾃分もこういうことあるかもということを映画からちょっとでも拾っていただけたらと思います」と締めくくった。
『恋脳Experiment』は、2⽉14⽇(⾦)より新宿シネマカリテ他にて全国順次公開予定。
キャスト&スタッフ
監督:岡田詩歌
出演:祷 キララ、平井亜⾨、中島 歩
河井⻘葉、⼤⽉美⾥果、佐藤和太、⼆⾒ 悠、中⼭雄⽃、⾨⽥宗⼤、関⾕ 翼、⼩林リュージュ、⼩野まりえ、川郷司駿平、佐藤 京、中島多羅
脚本:岡⽥詩歌、岡⽥和⾳
プロデューサー:天野真⼸
エンディング曲:samayuzame「かわいいね」
撮影:熊倉良徳
⾳楽:⽷井 塔
制作プロダクション:エリセカンパニー
(英題:Kisspeptin Chronicles、2023年、日本、上映時間:110分)
予告編
オフィシャル・サイト(外部サイト)
公開表記
配給:ストロール
2月14日(金) 新宿シネマカリテほか全国順次公開
(オフィシャル素材提供)