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いよいよ今週末、2月22日(土)よりポレポレ東中野にて藤川佳三監督『風に立つ愛子さん』が公開される。今回、コメントの第2弾が到着した。コメント入りの特別映像も解禁となる。また劇場イベントも決定した。
ずっと孤独だった彼女の、晩年に襲った大津波が人生を変えた―
避難所のあたたかい記憶を胸に、仮設住宅、復興住宅に移り住んでいく8年の軌跡
2011年の東日本大震災で石巻の家を津波に流された村上愛子さん、当時69歳。その出来事は天涯孤独に生きていた愛子さんの人生を大きく変えた。避難所での集団生活は、今まで知り合うこともなかった近隣の方と寝食を共にし、皆と心のつながるかけがえのない時間だった。その後、仮設住宅で7年を過ごし復興住宅へと移っていく――この映画は、震災後の8年間、愛子さんを見つめ続けたその記録である。津波を「津波様」と呼び、震災が幸せを運んでくれたと言う愛子さん。被災者とひとくくりにできない、ひとつの人生がここに映っている。
到着したコメント
「おひとりさまの老後」の著作もある社会学者の上野千鶴子さんは、「ひとりで生き、ひとりで老い、ひとりで死んだ女の生きた証」と本作を評し、小説家の山内マリコさんは、「日本の、東北の、社会の片隅でたしかに生きた、無数の無名の女性たちの一人だ」、公認心理師・臨床心理士の信田さよ子さんは、「愛子さんの言葉はどんな学者よりも哲学的だった」と愛子さんについて語った。映画監督の呉 美保さんは、映画中の愛子さんと藤川監督の関係を幸福と表し、「震災がもたらした出会いから改めて学ぶ。ひとは、だれかと関わりあってこそ、生きていけることを」と話した。3.11当時から石巻にボランティアとして入り、今も「石巻復興きずな新聞舎」の代表を務める岩元暁子さんは、「愛子さんの言葉と生き様から、何を受け取り、何を次世代に繋げていくのか。そんな深い問いを、多くの人と語り合いたくなる映画です」と語った。
コメント
上野千鶴子(社会学者)
避難所ユートピア、ということばがつい浮かぶ。苦難を共にした者たちの共同体、仮設住宅の連帯。それをもたらしたものを愛子さんは「津波さま」と呼ぶ。「思い出なんていらない」と泣き叫ぶ、ひとりで生き、ひとりで老い、ひとりで死んだ女の生きた証を、藤川監督は愛情深い「作品」に残した。
山内マリコ(小説家)
愛子さんから湧きでる無数のひとりごと、遠い日の記憶。「思い出なんてなくていい!」と取り乱しつつも、彼女はいつだって饒舌に来し方を語る。彼女はとても生々しく人間で、そのことに蓋をしない。天真爛漫で、ちょっぴりエキセントリック。語られる機会のなかった人生を、堰を切ったように語り出した。日本の、東北の、社会の片隅でたしかに生きた、無数の無名の女性たちの一人だ。
信田さよ子(公認心理師・臨床心理士)
愛子さんはよく笑う。きれいな声で歌うように語る。いくつもの苦労をそうやって乗り越えてきたけれど、突然トラウマが噴き出すこともあるので泣き出したら止まらない。愛子さんの言葉はどんな学者よりも哲学的だった。
呉 美保(映画監督)
しゃべりつづける愛子さん。
耳を傾けつづける藤川監督。
ときに母と息子のようで、ときに娘と保護者のようで、くるくる変わるふたりの関係が幸福だ。
震災がもたらした出会いから改めて学ぶ。
ひとは、だれかと関わりあってこそ、生きていけることを。
岩元暁子(石巻復興きずな新聞舎 代表)
生きるとは何か、孤独とは何か、そして人とつながるとはどういうことか――。震災後、ひとりで生き抜いてきた愛子さんの8年間の記録は、私たちにこれらの普遍的な問いへのひとつの答えを提示してくれます。愛子さんの言葉と生き様から、何を受け取り、何を次世代に繋げていくのか。そんな深い問いを、多くの人と語り合いたくなる映画です。
公開記念イベント
公開初日22日(土)は、コメントも寄せてくれた岩元暁子さんをゲストに招き、藤川佳三監督と共に舞台挨拶に立つ。震災当時から石巻の避難所をみており、実際の愛子さんにも会ったことのある二人のトークをぜひご期待いただきたい。上映後は、ポレポレ東中野の一階カフェにて座談会イベントも実施される。翌23日(日)は、藤川監督の前作『石巻市立湊小学校避難所』のプロデューサーでもある映画監督の瀬々敬久さんと本作にコメントを寄せたシンガーソングライター・俳優の山崎ハコさんが登壇する。24日(月・祝)は、『六ヶ所村ラプソディー』(2006)、『ミツバチの羽音と地球の回転』(2010)などの監督作がある、映像作家の鎌仲ひとみさんがゲスト登壇。2020年に長野に移住し、地方での暮らしを始めた鎌仲さんが本作をどのように語るのか、こちらもご期待いただきたい。
公開表記
配給:ブライトホース・フィルム
2025年2月22日(土)よりポレポレ東中野にて公開!以降全国順次
(オフィシャル素材提供)