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映画・映像関連会社が集積する東京都調布市では、2025年2月7日(金)から、映画のつくり手にスポットを当てた映画祭「映画のまち調布 シネマフェスティバル2025」を開催している。映画祭では、映画のつくり手を顕彰する映画賞「映画のまち調布賞」の授賞式や、映画制作の技術スタッフや監督によるトークショー付きの映画上映会、展示、ワークショップ等、各種イベントを3月2日(日)まで実施する。
この度、2月22日(土)に、第7回映画のまち調布賞授賞式と『35年目のラブレター』先行特別上映会を開催した。
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「映画のまち調布 シネマフェスティバル」は、映画・映像を楽しむ機会の創出と調布市に根ざした文化芸術の振興や地域活性を目指すとともに、「映画のまち調布」の推進を目的とし、 調布市内に集積している映画・映像関連企業、団体(株式会社角川大映スタジオ、日活調布撮影所、株式会社ジャンゴフィルム、高津装飾美術株式会社 ほか)と連携し、2019年より開催している映画のつくり手にスポットを当てた映画祭。
映画制作の現場を支える技術者を顕彰する「映画のまち調布賞」は、技術部門5賞(撮影賞、照明賞、録音賞、美術賞、編集賞)のほか、作品賞、特別賞を設けている。
この中、技術部門5賞は、調布市民およびイオンシネマ シアタス調布来場者による投票で候補作品が選出されている。
「第7回映画のまち調布賞」投票の対象となる作品は、2023年9月1日から2024年8月31日までに、国内の商業映画劇場で、有料で公開された日本映画。今回の投票は2023年11月17日から2024年9月1日に実施し、約1万13,695票が集まった。そしてその中から「映画のまち調布シネマフェスティバル2025」内で上映可能な実写映画上位10作品をノミネート作品として、各賞の映画・映像に造詣(ぞうけい)が深い有識者による選考委員会で討議の上、受賞者が決定した。
そして、作品賞は投票第1位の作品へ贈られる。また、特別賞は「映画のまち調布」の映画文化、芸術、産業の振興に多大なる貢献と顕著な実績を残した個人、もしくは団体、または近年に、めざましい活躍をした映画、映像関係者に贈呈される。
第7回映画のまち調布賞
主に映画製作の現場を支える技術者や制作会社といった「映画のつくり手」に贈る賞。映画・映像関連企業が集積する「映画のまち調布」にふさわしい映画賞として、映画文化、芸術、産業の振興に寄与した映画・映像作品及びその製作に貢献した者を顕彰する。
撮影賞、照明賞、録音賞、美術賞、編集賞(技術部門)
受賞対象:映画製作の現場を支える種々の技術者
選考方法:「映画のまち調布 シネマフェスティバル2025」で上映可能な第7回日本映画人気投票上位10作品の実写映画をノミネートとし、各賞、映画製作において功績のある映画技術スタッフ等で構成する選考委員会で討議の上、受賞者を決定する。
【ノミネート作品】
『ゴジラ-1.0』、『ミステリと言う勿れ』、『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』、『カラオケ行こ!』、『ゴールデンカムイ』、『キングダム 大将軍の帰還』、『福田村事件』、『沈黙の艦隊』、『こんにちは、母さん』
【選考委員】
撮影賞:岩倉具輝、酒井隆史、磯貝昇利、野口健司
照明賞:西野哲雄、長嶋建人、祷 宮信、野口益登、戸田将弘
録音賞:志満順一、小野寺修、伊藤進一、山本逸美、山本仁志
美術賞:竹内公一、安藤 篤、花谷秀文、鈴木隆之
編集賞:宮澤誠一、鵜飼邦彦、日下部元孝、川島章正
作品賞
日本映画人気投票最上位作品
特別賞
受賞対象:調布市の映画文化、芸術、産業の振興に多大なる貢献と顕著な実績を残した個人若しくは団体又は近年にめざましい活躍をした映画・映像関係者。
選考方法:調布市内の映画・映像企業等で構成する選考委員会で討議の上、受賞者を決定する。
第7回映画のまち調布賞受賞者
撮影賞:小林 拓『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
照明賞:岸本秀一『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
録音賞:竹内久史『ゴジラ-1.0』
美術賞:須坂文昭『福田村事件』
編集賞:宮島竜治 『ゴジラ-1.0』
特別賞:株式会社白組、柴崎憲治(音響効果技師)
作品賞:『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
日本映画人気投票結果
1位:鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
2位:ゴジラ-1.0
3位:映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)
4位:劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』
5位:ミステリと言う勿れ
6位:「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ
位:翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~
8位:映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ
9位:あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。
10位:映画 窓ぎわのトットちゃん
協力:協同組合日本映画撮影監督協会/協同組合日本映画・テレビ照明協会/協同組合日本映画・テレビ美術監督協会/協同組合日本映画・テレビ編集協会/日本映画・テレビ録音協会(五十音順)
審査試写会場提供:株式会社角川大映スタジオ
第7回映画のまち調布賞授賞式
「映画のまち調布」応援キャラクターのガチョラも参加して、シネマフェスティバル名誉会長で調布市長・長友貴樹氏が「今年は調布市にとって70周年。明るい未来を切り開く1年、そして調布市は映画の街であるということを内外に強くアピールし、今後ますます規模を拡大してシネマフェスティバルを開催できるよう全力でサポートしていきたい」などと開会宣言。「第7回 映画のまち調布賞」授賞式がスタートした。
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「映画のまち調布」の映画文化、芸術、産業の振興に多大なる貢献と顕著な実績を残した個人・団体に贈られる「特別賞」は、調布スタジオがVFX制作を担った『ゴジラ-1.0』の株式会社白組が受賞した。同社に所属する『ゴジラ-1.0』の山崎 貴監督がVTRで「白組のスタジオのある地元・調布からこのような賞をいただけたことは光栄なことだと思っています。地元感があってとても嬉しい」とのコメントを寄せ、佐藤昭一郎氏は「昨年『ゴジラ-1.0』が第96回アカデミー賞®で視覚効果賞を受賞し、白組のスタジオがある映画のまち調布にも嬉しいニュースを届けることができたのではないかと思います」などとコメントしながらトロフィーを受け取った。
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もう一人の特別賞は「日本で最も多忙な音響マン」と呼ばれる音響効果技師・柴崎憲治氏が受賞。残念ながら欠席となったが「音響効果という仕事は、本当に裏方の仕事。賞と名の付くようなものに縁が無い仕事で、下手をすると、録音のおまけ的な扱いを受けるモグラみたいな存在だったような気がしてました。世の中が少し変わってきたのか、土の下から顔が少し見えるようになって来たのかな? もう少し働いて身の丈ぐらい出られるようになって、音響効果の若い人たちの励みに成れば」とのコメントを寄せ、竹内久史氏が代理でトロフィーを受け取った。
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撮影賞は映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の小林 拓氏が受賞。トロフィーを受け取り「技術者や観客の双方から『もう少し映画の世界で頑張りなさい』と言われているようで嬉しいです」と喜び、スタッフとキャストに感謝を述べた。
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照明賞は映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の岸本秀一氏が受賞。本日欠席のため「30年以上も住んでいる地元で、たくさんの人に観ていただけて、僕にとって何より嬉しい賞です。これからも、調布映画と一緒に成長していきたいと思っています」とのコメントを寄せ、撮影賞の小林氏がトロフィーを受け取った。
美術賞は映画『福田村事件』の須坂文昭氏が受賞。トロフィーを受け取り「多くのスタッフに支えられてこの映画の美術を実現することができました。小さな作品ではありますが、全スタッフの力の結実を本映画祭で評価していただけたことを深く感謝します」と述べた。
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録音賞は『ゴジラ-1.0』の竹内久史氏が受賞。トロフィーを受け取り「映画公開から1年以上経っている中で、たくさんの方々にいまだに評価されるのが嬉しいです。多くの方々に劇場に足を運んでいただき、音を聴いていただき浸っていただける回数が増えたら嬉しいです」と呼び掛けていた。
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編集賞は『ゴジラ-1.0』の宮島竜治氏は受賞。トロフィーを受け取り「満票ということで舞い上がっています。偉大な先輩方から評価されての受賞という事で、嬉しさを超えてゴジラに踏みつぶされて殺されてもかまわないような気持ちです」とユーモアを交えて喜びを噛みしめていた。
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調布市民及びイオンシネマシアタス調布来場者による投票の結果、最上位となった作品に贈られる作品賞は、アニメーション映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が選出された。トロフィーを受け取った古賀豪監督は「本作は観客の皆さんに見つけていただき、育ててもらった作品です。我々もまさかここまでの反響を頂けるとは思っていませんでした。水木しげる先生が愛した調布という街からこのような素晴らしい賞をいただけたことは運命の巡り合わせだと幸せに感じます」としみじみしていた。
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第7回映画のまち調布賞授賞式&『35年目のラブレター』先行特別上映
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【開催日時】2月22日(土) 映画賞授賞式、『35年目のラブレター』先行特別上映
【会場】調布市文化会館たづくり くすのきホール
【司会】金児憲史(俳優)、楊原京子(俳優)
【トークゲスト】塚本連平(監督)、森谷 雄(企画・プロデュース)
妻にラブレターを書くために60歳を超えてから夜間学級に通われた、西畑保さんの実話をベースに映画化。笑福亭鶴瓶の好演も話題だが、主演抜擢の理由について塚本監督は「西畑さん役は笑福亭鶴瓶さんにやってもらいたかった。実際の西畑さんとも似ているし、関西弁もネイティブ。楽しくて演技も上手くてみんなが知っている人と言えば、笑瓶さんしかいないと思った」と念願叶った様子だった。
これに森谷氏は「鶴瓶さんには脚本の途中段階で何度もホンを持って行きました。いい脚本でなければ出てもらえないだろうと思って、鶴瓶さんでなければこの映画はやりません!という口説き文句でやりました」と笑わせた。モデルとなった西畑さんも映画を気に入っているそうで、塚本監督曰く「この映画のチラシを何千枚ももらって、会う人会う人に配っているそうですよ」と嬉しそうに報告した。
西畑さんに取材し、脚本を書き上げたという塚本監督。「西畑さんからお話を聞く中で心を動かされたり、勇気づけられたりしたので、それが丸ごと伝わるような映画にしたかった。悲しいから泣くのではなく、嬉しくて泣けるような。そんな映画を目指しました」と狙いを明かした。
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鶴瓶のほか、原田知世、重岡大毅、上白石萌音が出演。森谷氏は「まさに奇跡のように決まっていきました。イメージキャストそのままの配役が実現した時は飛びあがるくらい喜んだ」と声を弾ませ「スタッフとキャスト全員が同じ方向を向いて映画を作ると、いい作品が生まれる。今回も関わった人たち全員が同じ眼差しで作品を見つめていることが感じられた」と手応え十分。
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塚本監督も「自分のやりたい企画が出来てキャスト陣も理想が叶った。その後の僕がやることは、皆さんの芝居を邪魔しないことでした」と全幅の信頼を寄せていた。
最後に塚本監督は「温かい気持ちで誰かにありがとうと感謝を伝えたくなるような、そんな映画になればと思って撮っていました。観てくれた方々にそんな気持ちが伝われば嬉しいです」と期待。森谷氏も「映画を観終わったら、大切な人に手紙を書きたくなるはず。スマホでぱっぱと済ますのではなく、大切な誰かに便箋で手紙を書いてもらえたら幸いです」と呼び掛けていた。
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上映会
2月23日(日)10:00『カラオケ行こ!』
トークゲスト:山下敦弘(監督)
2月23日(日)14:00『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』※2024年11月17日(日)発売のBlu-ray&DVD通常版と同内容の上映となります
トークゲスト:古賀 豪(監督)
2月23日(日)18:00『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
トークゲスト:西 麻美(プロデューサー)、小林 拓(撮影)、岸本秀一(照明)
2月24日(月・休)10:30『こんにちは、母さん』
トークゲスト:北山雅康(俳優)
2月24日(月・休)15:00『福田村事件』
トークゲスト:須坂文昭(美術)
3月1日(土)10:00『Fukushima 50』
トークゲスト:柴崎憲治(音響効果)、三池敏夫(特撮/VFX監督)
3月1日(土) 14:00『ジュブナイル』<4Kデジタルリマスター>
トークゲスト:山崎貴(監督)、安藤親広(プロデューサー)
3月1日(土)18:00調布vs田口清隆<大怪獣大暴れまつり>(上映作品:テレビ・シリーズ『ウルトラマンZ』第1話、
テレビ・シリーズ『ウルトラマンブレーザー』第1話、『大怪獣映画 G(オリジナルバージョン)』)
トークゲスト:田口清隆(監督)、山田姫奈(俳優)、内藤好美(俳優)
3月2日(日)10:30『ゴジラ』(1954年)
トークゲスト:手塚昌明(映画監督)、清水俊文(修復担当、現・ゴジラルーム所属)
3月2日(日)15:00『ゴジラ-1.0』
トークゲスト:竹内久史(録音)、宮島竜治(編集)
※ 登壇者情報は予定です。都合により急遽中止・変更になる場合があります
【会場】調布市文化会館たづくり くすのきホール
【料金】(全席指定)前売り800円 当日1,000円 U25 500円 ※各種割引はありません
【チケット購入方法】WEBサイト参照 https://chofucinemafestival.com/(外部サイト)
『平成狸合戦ぽんぽこ』上映会
この度、1994年公開のスタジオジブリ劇場用長編アニメーション『平成狸合戦ぽんぽこ』をイオンシネマ シアタス調布で上映される。劇場の大スクリーンでお楽しみいただきたい。
【上映期間】2025年2月22日(土)~3月2日(日)
※上映時間はWEBサイト参照
【会場】イオンシネマ シアタス調布
【料金】(全席指定)一般・大学生:1,300円/シニア:1,100円/高校生以下、障がい者:1,000円
※ 特別興行につき、記載以外の割引、無料鑑賞券はご利用いただけません。(ACチケット利用可)
【チケット購入方法】WEBサイト参照 https://www.aeoncinema.com/cinema/chofu/(外部サイト)
展示
映画祭に関連した各種展示をします。貴重な映画資料をご覧ください。
CINE_WORKS展part1 [映画のまち調布賞 受賞者紹介]
第7回映画のまち調布賞の各受賞者の紹介と、『ゴジラ-1.0』の撮影で使用されたバラックのミニチュアや、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の衣装など、上映作品に関する展示です。映画づくりに関わるスタッフの仕事を紹介します。
【日時】2/7(金)~3/2(日)たづくり開館中
【会場】エントランスホール
CINE_WORKS展part2 [調布と特撮・VFX]
「調布特撮大戦2025」の上映作品に関する展示です。『ゴジラ』(1954年)や『ジュブナイル』をはじめ、各作品の貴重な資料や特撮・VFX作品の制作技術について紹介します。
【日時】2/22(土)~3/2(日)10:00~19:00
【会場】北ギャラリー
出張!映画資料室「日活調布撮影所」と「VFXの作品たち」
「出張!映画資料室」では、「日活調布撮影所」と「VFX」をテーマに、製作再開から70周年を迎えた日活調布撮影所と、『ゴジラ-1.0』で注目されている「VFX」という技術にスポットをあて、映画製作の裏側に迫ります。
【日時】2/22(土)~3/2(日)10:00~19:00
【会場】南ギャラリー
国立映画アーカイブ「令和6年度アーカイブ中核拠点形成モデル事業」展示
日本映画史探検!《新東宝/国際放映》と《近代映画協会》の歩み
国立映画アーカイブ「アーカイブ中核拠点形成モデル事業」の調査結果を元にした映画資料展。ポスター、使用台本、海外映画祭受賞時の賞状、トロフィー等によって、新東宝/国際放映と近代映画協会の歴史を紹介し、また調査関連の特撮資料や映像機材等を展示します。
主催:国立映画アーカイブ 運営:特定非営利活動法人映像産業振興機構
【日時】2/22(土)~3/2(日)10:00~19:00
【会場】北ギャラリー
このほかのイベント、展示はWEBサイトをご覧ください。
映画のまち調布 シネマフェスティバル2025
開催期間:2025年2月7日(金)~3月2日(日)
開催会場:調布市文化会館たづくり、イオンシネマ シアタス調布、調布市グリーンホール
主催:(公財)調布市文化・コミュニティ振興財団/調布市
企画・運営:映画のまち調布 シネマフェスティバル2025実行委員会
公式WEBサイト:https://chofucinemafestival.com/(外部サイト)
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