イベント・舞台挨拶

『TATAMI』日本公開初日トークイベント

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 登壇者:阿部 詩(柔道家・パーク24所属)
 MC:伊藤さとり(映画パーソナリティ)

 2月28日(金)新宿ピカデリーにて、映画『TATAMI』公開初日トークイベントが行われた。ゲストには、2025柔道グランドスラム・バクー大会女子52kg級で優勝を果たした柔道家の阿部 詩氏。イベントの冒頭では、凱旋後初のイベント登壇となる阿部に花束が手渡された。会場から盛大な拍手を受けた阿部は、「7ヵ月ぶりの大会だったので緊張とワクワクが混ざりながら畳の上で戦いました。優勝できてほっとしています。ロス五輪まで約3年、長いようで短い期間なので、しっかり自分自身を高めて金メダルを目指して頑張ろうと思っています。本日は短い時間ですがよろしくお願いいたします」と挨拶した。

 続いて、『TATAMI』 の予告編で初のナレーションを担当したことに触れ、「感情を声にのせるのがすごく難しかったですけど、楽しかったです。自分の声をまじまじと聞く機会はあまりないので、不思議だなと思いながら……。でもカッコよくできたと思います」と振り返った。国家から棄権を命じられ、人生最大の決断を迫られる柔道家レイラ・ホセイニと監督マルヤム・ガンバリの葛藤を描いたストーリーについて、「実話をベースにした作品で、事件については知っていたけど詳しくは知らなかったので、こんなに壮絶な思いを抱きながら、いろいろな人生や物語を背負って戦っているのだなと感じました」と、極限の心理状態に追い込まれた主人公レイラ、監督のマルヤムの胸中を痛切に受け止めた。続けて「戦うことで家族に危険が迫るということが想像もできない世界なので、その姿をリスペクトしながら、同時にわたしは家族を犠牲にして戦えるか?ということを考えました」と自らに置き換えて鑑賞したという。主演のアリエンヌ・マンディが数ヵ月のトレーニングを重ねて挑んだ試合シーンについては、「柔道という競技をどういうふうに映画で描くんだろうと思いながら観ましたが、組手のやり取りや寝技のシーン、豪快に投げるシーンなどがすごくリアルで、本物に近いなと思いました。特に寝技のシーンは、荒い息遣いやカメラの動きも臨場感があり、きつい感情が伝わってきて、日々の練習でもそういう場面があるので、それを思い出して苦しくなりました」と、畳の上で真剣勝負する柔道家ならではの解説を披露した。さらに、「全女性の自由になりたいという気持ちを背負って戦っているのを感じ、わたしにはそういう強さってあるのかなと思いました。国に何をされようが、人としての自由を求めて自分自身の夢を追いかける姿に、わたしも人として、女性として、強くありたいと思いました」と、一アスリートとしての信念を貫く主人公の姿に大きな感銘を受けたと語る。

 自身が試合に挑む際は、「目の前の相手を絶対に倒してやるという思いと、どれだけ長く試合が続いても、最後まで絶対に諦めないという気持ちを持って畳に上がっています。畳の上は相手の人生やバックグラウンドを考えて立つ場所ではなく、互いにリスペクトもありながら、畳の上に立ったら全員平等に倒さなくてはいけない相手になると思っているので、そういうシーンに柔道のいいところが出ているなと思いました」と、選手の心理を見事に映像化した監督の手腕に魅せられた。

 今後の活動については、「4月には福岡で世界選手権の最終選考会があり、そこで優勝すると6月にハンガリーで開催される世界選手権に出場できるので、そこでもう一度世界一になり、一歩一歩ロスに向けて歩んでいきたいなと思っています」と、選手として全精力を注ぐ決意を口にした。最後は、「『TATAMI』を観て、人として、また女性として、国を背負って戦う者としての強さや、自由を求めて戦う姿に心を打たれました。わたし自身もそのような強い人間になりたいなとすごく感じました。皆さんもぜひこの映画を観て、少しでも感じるものがあれば嬉しいなと思います。そして、この映画を観て柔道という競技に興味を持っていただけると嬉しいです」と観客へのメッセージでトークイベントを締めくくった。

公開表記

 配給:ミモザフィルムズ
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