
アッシュ・メイフェア監督作品『その花は夜に咲く』が3月21日(金)からシネマート新宿ほか全国順次公開となる。長編デビュー作『第三夫人と髪飾り』が世界の映画祭で数々の賞を受賞し大きな注目を集めたベトナムの新鋭アッシュ・メイフェア監督、待望の長編第2作。望まぬ性に生まれたサンと、ボクサーのナムとの愛の軌跡を、監督自身の中学時代の経験や記憶、トランスジェンダーの友人をモデルに、鮮烈なラブストーリーに創り上げた。「ベトナムでは今もなお、トランスジェンダーコミュニティは政府や社会から厳しい批判を受けています」とメイフェア監督が語るように、果敢にタブーとも言えるテーマに挑んでいる。
この度、今作で、愛し合う若いふたりを夜の闇へと飲み込んでゆくサイゴンの街を取り仕切るフィクサー、ミスター・ヴーンを演じたのは大ヒット作『侍タイムスリッパー』で撮影所所長を演じた名バイプレイヤー、井上 肇。東京出身でありながら京都人も驚くほどの自然さで京都弁を操った井上は、今作では単身ベトナムへ渡り、初挑戦となるベトナム語で全編を演じ切り、圧倒的な存在感を放っている。そんな井上の姿を見て、『侍タイムスリッパー』監督の安田淳一からは「驚くべき才能」と称賛の声が。「完璧な気持ち悪さ」とまで表現されるのには、安田監督の過去作品にも出演する井上との関係があってのこと。

今回解禁される本編映像は、恋人・サンのためにより稼ぎの良い地下格闘技の世界へと足を踏み入れようとするボクサーのナムが、ミスター・ヴーンのもとを訪れるシーン。「私が君に金を出すとなぜ思える?」と凄むミスター・ヴーンに、「勝者が好きだろ」と覚悟をみせるナムのまなざしから緊迫感が伝わってくる。
本シーンで明らかになるミスター・ヴーンを演じる井上 肇の初挑戦となるベトナム語について、字幕監修担当者も「ベトナム語は発音が難しく短期間でマスターするのは困難なので、まったく知らないで演技されていて心から尊敬します。(監督が台詞を録音して渡したと聞いて)聞いたまま発音したんだな、耳の良い方なのだろうなと感じました」と評価している。
安田淳一監督 コメント全文
サンとナム。
若者は、ただ幸せになりたかった。
ほんの少しの行き違いが破滅的な運命へ恋人たちを導く……。
と、思いきや物語は予期せぬ展開を見せた。
この監督、やるな。
終盤、無言で見つめ合う二人。
万感の思いが押し寄せてくる。
ベトナムが生んだ驚くべき才能。
井上 肇がサイゴンのキーマンとして登場。
ベトナム語を駆使し完璧な気持ち悪さで演じている。
四谷が生んだ驚くべき才能。
――安田淳一(映画監督『侍タイムスリッパー』)
井上 肇 プロフィール
1961年、東京に生まれる。バイプレイヤーとして数々の映画やテレビ・ドラマに出演する。近年の映画出演作に、『三度目の殺人』(17/是枝裕和監督)、『孤狼の血』(18/白石和彌監督)、『万引き家族』(18/是枝裕和監督)、『七つの会議』(19/福沢克雄監督)、『おらおらでひとりいぐも』(20/沖田修一監督)、『すばらしき世界』(21/西川美和監督)、『ロストケア』(23/前田哲監督)、『侍タイムスリッパー』(24/安田淳一監督)など。
2024年、トロント国際映画祭に出品されたギヨーム・セネズ監督作品“A Missing Part”で、海外の監督作品にも出演。フランスの名優ロマン・デュリスと共演する。続く本作では、単身でベトナムに滞在し撮影に参加。全編ベトナム語で臨み圧倒的な存在感を放つ。
公開表記
配給:ビターズ・エンド
3月21日(金)〜シネマート新宿ほか全国順次公開
(オフィシャル素材提供)