
本作は、第32回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門でも上映された2020年公開の映画『ミセス・ノイズィ』でその人間の機微を絶妙に描き、 監督としての手腕が注目されている天野千尋の最新作『佐藤さんと佐藤さん』が岸井ゆきの、宮沢氷魚をW主演で迎え、“夫婦”をテーマにオリジナル作品として2025年秋に公開することが決定した。さらに今年4月に開催される第49回香港国際映画祭Fantastic Beats部門への出品も決定し、作品情報と出品情報が解禁となる。
だらしない弁護士妻と、育児に追われっぱなしの浪人夫。
ぐらっぐらな夫婦関係が笑いと切なさを誘う、私たちのマリッジ・ストーリーが誕生した。
大学卒業後に会社員を経験後、2009年に映画制作を開始した天野千尋監督。短編『さよならマフラー』がシネアスト・オーガニゼーション大阪にて上映され、 続く中編『費ヲナゲロ』はぴあフィルムフェスティバル(PFF)に入選。初オリジナル長編映画『ミセス・ノイズィ』では隣人との危うい関係という社会問題をシニカルな笑いで包み、NYジャパンカッツ観客賞、日本映画批評家大賞脚本賞。高評価を得た天野が今回選んだテーマは“夫婦”。佐藤さん同士が付き合い、結婚、出産を経て見えた「夫婦」のカタチとは――? 結婚しても離婚しても苗字は変わらない。でも夫婦は常に変化していくもの。その変化にどう順応していくのか、していけないのか。
家事育児、日々のこと、そして未来のこと。夫と妻はなぜすれ違うのか? そんな行き違いを真正面から描いたふたりのはなし。
あなたは何を想う?誰を想う? 凸凹なふたりのリアルな本音がぶつかり合う!
凸凹夫婦が毎日を積み重ね、人生を共にした15年間――
オリジナルで本作を描いた天野は、「オリジナルの醍醐味は、果てしなく広がる自由な世界の創造主になれることですが、それはこの上なく孤独で苦しい道のりでもあります。だからこそ共に歩んでくれる脚本の熊谷さんの存在が大きな力になっています」と、2006年『はっこう』で、PFF2006グランプリ、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭審査員特別賞など受賞した熊谷まどかとの共作を振り返る。さらに、今回佐藤サチ役に迎えた岸井ゆきのの印象を「岸井さんは、ひと言でいうなら“芯”の人です。芯がある人、という表現ではもの足りない、芯そのものという感じ。ひとつも嘘のない、誠実でまっすぐな芝居を見せてくれました」と語り、佐藤タモツ役に迎えた宮沢氷魚を「宮沢さんはとにかく慈しみ溢れる人で、佐藤 タモツという人物に愛情を注ぎ、大事に大事に育ててくれたと感じています。その温度は今もなお画面からも溢れてきて、私の心を温めてくれます」と見た目も中身も凸凹なふたりを演じた俳優に賛辞を送る。
今回W主演のサチとして参加した岸井ゆきのは「どうして分かり合いたい人とこそすれ違い、分かち合いたいことも、ほんとは楽しいはずの会話も、余計なひと言や不要な思いやりによって手のひらからすり抜けていくのだろう」と、ふたりのもどかしい関係に想いを馳せ、「佐藤さんと佐藤さんの激しくて楽しくて切なくて嬉しい数年間の記録が、どこかであなたの人生と重なりますように」と、ふたりの物語が一人ひとりに届くようにと願いを込めている。
さらにタモツとして参加した宮沢氷魚は、岸井との共演を「とてもチャーミングな方で、撮影初日からお互い心を開いて、タモツとサチをしっかりと演じられたと思います」と初めての共演ながら、息がぴったりだったことを明かし、「初めて脚本を拝読した時から二人の佐藤さんの関係がどこかシュールで、でもリアリティに満ち溢れていて引き込まれました。夫婦であっても、苗字が同じでも、やはり他人同士。そんな二人の歩む人生をぜひご覧いただければと思います」と本作の魅力を伝えている。



香港映画祭出品情報が解禁された本作。今秋の公開に向けて、引き続き続報をお楽しみにお待ちいただきたい。
コメント
監督・脚本:天野千尋
本作で描かれる15年間で、ふたりの佐藤さんはゆっくりと変化していきます。子どもから大人になり、社会に出て、それぞれの立場で役割を担っていく。ひとりは弁護士に、ひとりは主夫に。立場が違うと、眺める世界もちょっとずつズレてくる。そのうち相手の目にいったい何が映っているのか分からなくなる。理解できないと怒ったり、憎んだり、切り捨てたりする。佐藤さんに限らず、これは社会の中で生きる私たち誰もが経験することです。
「他者」をどう理解するか、どう折り合いをつけていくかを、私たちはずっと考え続けなければならないと思っています。
岸井ゆきの
どうして分かり合いたい人とこそすれ違い、分かち合いたいことも、ほんとは楽しいはずの会話も、余計なひと言や不要な思いやりによって手のひらからすり抜けていくのだろう。
私には夫婦の“普通”が分からないけど、家族というのはあまりにも普遍的で、それぞれがあまりにも特別なのだと思う。
佐藤さんと佐藤さんの激しくて楽しくて切なくて嬉しい数年間の記録が、どこかであなたの人生と重なりますように。
そして、見逃しそうな幸せをどうか見逃しませんように!
宮沢氷魚
初めて脚本を拝読した時から二人の佐藤さんの関係がどこかシュールで、でもリアリティに満ち溢れていて引き込まれました。
岸井さんとは初めての共演でしたがとてもチャーミングな方で、撮影初日からお互い心を開いて、タモツとサチをしっかりと演じられたと思います。
天野さんはとても柔軟な方で、スタッフや役者と意見を交換しながら撮影を進められたので、共に作り上げた感覚がとても強いです。
夫婦であっても、苗字が同じでも、やはり他人同士。そんな二人の歩む人生をぜひご覧いただければと思います。
香港国際映画祭とは
中国南部の都市香港で開催される国際映画祭。本映画祭は1977年に始まり、アジアを代表する国際映画祭としてアジア映画の普及に努めている。毎年約200作品が上映され、関連イベントも含めた来場者数は60万人にも上る。フィクション部門、ドキュメンタリー部門、コンペティション部門で公募行われ、各部門の優秀作品には賞や賞金の授与が行われる。メジャー作品からインディペンデント作品まで、幅広いカテゴリーで作品を選出し上映の機会を提供しており、アジア進出の登竜門となっている。今年49回目を迎える本映画祭は4月10日〜4月21日まで開催される。本作が出品される「Fantastic Beats部門」は、若年層の観客に向け上映される部門となっている。
ストーリー
佐藤サチ(22)は、ダンス好きの活発なアウトドア派。佐藤タモツ(23)は、正義感の強い真面目なインドア派。正反対な性格だがなぜか気が合い、程なくして付き合い同棲を始める。そして5年後。弁護士を夢見るタモツは、司法試験を受けるが不合格が続く。しかし諦めずまた挑戦したいというタモツを応援するサチ。 会社員として働いていたサチは、一人孤独に頑張るタモツを助けようと、一緒に勉強をはじめる。
数年経ってもタモツは相変わらず不合格だった一方、サチが司法試験に受かってしまう……。申し訳ない気持ちのサチと、プライドがズタズタのタモツ。そんな中、サチの妊娠が発覚! ふたりは結婚することになる。
産後すぐに、弁護士として働き出し忙しい毎日を過ごすサチに対し、タモツは、塾講師のアルバイトをしながら家で息子の世話、その片手間に司法試験の勉強をしているので全く集中できずにいた。そんな生活の中、忙しいサチが息子の支度を忘れたり、家でのだらしない姿にタモツはイライラが募る。 育児に対する考え方も全く違うふたりは対立し、次第に絶妙に保たれていたはずのバランスが崩れ始め……?
(2025年、日本)
キャスト&スタッフ
監督:天野千尋
脚本:熊谷まどか、天野千尋
出演:岸井ゆきの、宮沢氷魚 ほか
製作幹事:メ~テレ/murmur/ポニーキャニオン
制作プロダクション:ダブ
公開表記
配給:ポニーキャニオン
2025年秋、全国ロードショー!
(オフィシャル素材提供)