
登壇者:森山直太朗、番場秀一監督
SETSUNA INTERNATIONAL製作、アスミック・エース配給により、 映画『素晴らしい世界は何処に』が 3月28日(金)より全国公開し、「ミニシアターランキング」第2位(興行通信社、3/31付)にランクイン! 「涙が止められなかった」「何度も拍手しそうになりました」「大画面で、良い音響で見られて良かった」「自身と家族にちゃんと向き合おうと思えた」「「何度でも観たい」などなどSNSは熱い感想が溢れ、感動の輪が広がっている。
2024年11月、森山はファンクラブイベント「CINEMA de 素晴らしい世界」で一度、高田世界館を訪れており、再び、映画『素晴らしい世界は何処に』を携え、番場秀一監督とともに、日本最古級の映画館に帰ってきた。

この度、映画の上越凱旋舞台挨拶を開催した。撮影時の裏話や、影響を受けた作品のこと、そして、森山直太朗が『さくら』、映画主題歌『新世界』をギター弾き語りにより生演奏した!
上映が行われた高田世界館は、1911年に建築され、今年で114年目となる日本最古級の現役映画館で、この日の高田市は満開の桜と春の花々が咲き誇る季節。満員御礼の劇場内、大きな拍手で迎えらえた森山と番場監督。森山は「この度は本当にありがとうございます。『素晴らしい世界』ツアー、国内外あわせて107本、さらには集大成となる両国国技館の公演をベースに、長いツアーの期間でおこった父との別れ、家族との再会などが描かれるロード・ムービーです。出来事をパズルのように、パッチワークのように映画という形にしてくれた番場監督にこの場を借りて御礼を。本当にありがとうございました」と伝え、番場監督も「ありがとう」と感謝で返した。

森山は昨年11月、「『CINEMA de 素晴らしい世界』 in 北陸」で本映画館を訪れており、番場監督も高田市は3年ぶり3回目。前日から高田市に来ていた二人は、地元でおでんやラーメンを味わったと言い、番場監督はこの日の上映の様子を見て、劇場の周辺を歩いてみたとも話した。
観客から「父と子の愛情を、『papa』という曲のシーンの映像から感じた」という感想があがり、番場監督は「『papa』のシーンは、何人ものカメラマンに、計15台ほどのカメラで自由に撮影してもらったもので、それぞれの思いを受け取って映像を繋ぎ合わせた。繋いだ短い映像それぞれが、その日、自分の見ていた景色と重なり、見ていたイメージと近かったとも感じた」と語ると、森山は「その日、本当は監督自身も撮影する予定だったが、あろうことか当日の朝、ぎっくり腰になり……車椅子に乗って、杖をもって現れた。後ろめたさがあったのか“今日はいいライブになるよ!”と言った」と裏話を明かした。

また、森山から「台湾でのライブで父について語るシーンを切り取って映画に使用した理由」を問われた番場監督は、「長いツアーの中で、あそこまで個人的なことに踏み込んで話したことが初めてで、とても印象的だったから。よそに置いておけないと思った」と答えた。病床の父のもとに母を呼んで過ごした時間の音声を、森山は資料として番場監督に渡したが、「これは受け取れない。受け取ったら監督として映画に使ってしまうから」と一度は断ったという経緯についても語り、「人の人生の一部の音声であり、最初は匂わせくらいに使うことも考えたが、森山さんの覚悟にも背中を押されて、最終的に映画の形になった」と打ち明けた。

続いて観客から、「映画の中の“素晴らしい世界は何処に”という問いに対して、森山さんと監督が最近感じた“素晴らしい世界”、“素晴らしい作品”があれば教えてください」との質問があり、森山は「影響を受けたのは、友部正人の『おしゃべりなカラス』。同じ孤独、同じ悲しみを知っている人がいるんだと思えたし、けれど実はみんな同じように知っていて、みんな隠しているけれども、本当は水面下で手を繋げていると思えた曲。この曲に、詩・ポエジーの必要性を感じ、共感覚の基準になっている」と答え、加えて「共感性においては、“音楽”はひとつの役割を担うと思っている。音楽を手法として舞台づくりをするにあたって、音楽の楽しさの共有だけでは自分の表したいことを伝えるのが難しいと感じることがあり、“舞台”を作ることが自分の中で大きくなってきた。舞台を言語として、自分たちの正直な本当の気持ちについて、表現していきたい」と答えた。
番場監督は「素晴らしい世界ははまだ分かっていない。嬉しいと思うことはあっても、幸せだなと思うことは実はほとんどないのかもしれない。影響を受けたのは映画でいうとジョン・ウォーターズ監督の『ピンク・フラミンゴ』です」と語った。
番場監督から「映画の中の“素晴らしい世界はもう探さなくていいんだ”という言葉の意図は?」と問われた森山は、「両国国技館のステージから一人ずつメンバーが帰っていく後ろ姿を見ながら、この素晴らしさには終わりがあることを感じた。無限ではなく、有限なのだと気づいた時に、自分が追い求めていたものが本当の意味での素晴らしい世界ではなかったと気づくことができ、これ以上、追わなくてもいいんだと思えた」と打ち明けた。
そんな中、森山が『さくら』と、映画主題歌『新世界』をギターの弾き語りでサプライズ生歌唱し、劇場内は大きな拍手と深い感動に包まれた。


さまざまな秘話や裏話が飛び出したトークショーの終わりに、森山は「今後も全国津々浦々の映画館で上映をしていきます。こんな形のQ&Aもまたやっていきたいと思っています。今日は本当にありがとうございました」と締めくくった。


公開表記
配給:アスミック・エース
全国公開中
(オフィシャル素材提供)