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【アメリカ黒人映画傑作選】4/18(金)〜5/8(木)ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催!著名人コメント解禁

 4/18(金)〜5/8(木)ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催中の【アメリカ黒人映画傑作選】。この度、推薦コメントが到着した。

推薦コメント

杏レラト(黒人映画歴史家)
 LAの反逆者たちとNYブラック・インディ。スパイク・リー出現前の70〜80年代の若き黒人映画人のムーブメント。多くがその名前や歴史を知らないのは、公開されることがなかったからだ。大手映画会社では叶わなかった自分たちの映画には、他とは違うアメリカ文化、歴史、民話、生きざま、音楽、芸術、性、女性の社会進出、社会への抵抗が前衛的かつ耽美的にフィルムに収められ、「自分たちの映画を作る」はスパイクらに引き継がれた。時に切なさといった共感を覚えるのは、人種・時を超えた普遍的ゆえ。日本での公開は奇跡であり、最高の喜び。

榎本 空(文筆家・翻訳家)
 私はあなたが理解できない沈黙。
 ブラック・シネマという系譜。人々が奴隷制の余生を生きるために、がんじがらめの生をよりよいものへと変えるために必要としたもう一つのイメージ。
 物語は前触れもなく動き、時の流れを錯乱する。唐突にはじまるダンスに、出口のない言葉の応酬と諦めたような瞳に、己の傷を鎧へと変えようと呼びかける女の言葉に、四百年の歴史の隅々までが詰まっている。
 ハッピーエンドはない。美しい生は一瞬の鮮明さのうちに捉えられ、刻々と配列を変えていく肉体の躍動のうちに見出される。誰もそんな物語の名前を知らない。
 だから刮目せよ。その声に耳をすませ。イメージを肉体に刻め。

押野素子(黒人文学翻訳者)
 自立した黒人女性の葛藤がにじみ出る『ここではないどこかで』、不況に苦しむ庶民の生々しい姿を描いた『小さな心に祝福を』、アフロ・フューチャリズム作品のプロトタイプともいえる『海から来た娘たち』。いずれもタイプはまったく異なりますが、どれも心から「観てよかった」と思える発見に満ちた傑作です。個人的なお薦めは、『小さな心に祝福を』の夫婦喧嘩シーン。映画史上最高にリアルとも言えるやり取りの中で、黒人女性の健気さ、悲しさ、やるせなさ、さらにはユーモアまでもが、ありありと浮かび上がります。

中村隆之(早稲田大学/環大西洋文化研究)
 「知られざる傑作」はいつでも存在する。大学で哲学を教える女性の一夏を通じて「愛とは何か」を知的かつエレガントに問い、観る者すら誘惑する『ここではないどこかで』。失業中の中年男性の家族の苦境と悲哀を、モノクロの映像でブルージーに唄い続ける『小さな心に祝福を』。奴隷制の壮絶な過去を生き延びてきた家族の迫り来る生き別れを女性たちの視点から語る、黒人映画の不朽の叙事詩『海から来た娘たち』。ブラック・ディアスポラ文化に関心のある方は、次があるか分からないこの機会を絶対に見逃さないでほしい。

作品概要

『ここではないどこかで』

©1982 Kathleen Collins, Courtesy of Milestone Films and the Kathleen Collins Estate

 (原題:Losing Ground、1982年 / カラー /アメリカ /86分)

 監督・脚本:キャスリーン・コリンズ
 出演:セレット・スコット、ビル・ガン

 大学で哲学を教えるサラは、画家の夫ヴィクターとニューヨークに住んでいる。夏の間、リゾート地で創作活動に専念したいと言い出すヴィクターに対し、論文執筆のため街に残りたいサラだったが渋々付き合うことに。しかしヴィクターは現地の女性にちょっかいを出し、サラは腹いせに教え子から頼まれていた自主映画への出演を決めてしまう。
 アフリカ系女性監督による最初期の長編映画。正式公開には至らず、製作から6年後に監督のキャスリーン・コリンズは逝去。2015年に修復され上映を果たし、映画評論家のリチャード・ブロディが「ニューヨーカー」誌で「この映画が当時広く公開されていたら、映画史に名を刻んでいただろう」と評するなど絶賛された。エリック・ロメールを思わせるような軽妙かつ洗練された語り口で、男女の機微を活き活きと描く。

『小さな心に祝福を』

©1983 Billy Woodberry, Courtesy of Milestone Films and Billy Woodberry

  (原題:Bless Their Little Hearts、1984年 /モノクロ / アメリカ / 85分)

 監督:ビリー・ウッドベリー  出演:ネイト・ハードマン、ケイシー・ムーア

 ロサンゼルスのワッツ地区で暮らす失業者チャーリーは3人の幼い子を養うため、職探しの毎日。日雇いの仕事にありつければまだマシな方、なかなか金を稼ぐ手立てが見つからない。妻のアンダイスは夫の不甲斐なさに半ば諦め顔、家計のやりくりに苦心しながら家事に忙殺されストレスがたまる一方。そんな中、チャーリーの浮気が発覚、ついにアンダイスの怒りが爆発する。
 貧困地帯を舞台に、黒人家族の過酷な日常を抑制の効いたモノクロ映像で丹念に追う。監督は〈L.A.リベリオン〉(※)の中心人物の一人、ビリー・ウッドベリー。脚本と撮影を“最も偉大な黒人監督”と評されるチャールズ・バーネットが手掛けている。Rotten Tomatoesで100%の支持率を獲得。10分近く長回しで捉えたキッチンでの夫婦喧嘩は壮絶の一言。

『海から来た娘たち』

Images Courtesy of Park Circus/The Cohen Film Collection

 (原題:Daughters of the Dust、1991年/カラー/アメリカ/112分)

監督・脚本:ジュリー・ダッシュ
 出演:コーラ・リー・デイ、バーバラ・O・ジョーンズ

 1902年、アメリカ大西洋沖シー諸島のある島。長年住んだ故郷を離れ、北への移住を決めたぺザント一族だったが、長老のナナは亡き夫が眠るこの地に残ると言い張る。それぞれの思惑が交錯する中、いよいよ島を出る時が来た。
 これから生まれてくる子どものモノローグで綴られる、ガラ族の女系家族の物語。虐げられても失わなかった高貴な魂と誇りを、詩的な映像美で高らかに謳いあげる。黒人女性監督による初めて公開された長編映画で、2016年にリリースされたビヨンセのアルバム『レモネード』が本作に多大な影響を受けていることから注目が集まり、2022年にはサイト&サウンド誌「史上最高の映画ベスト100」の60位に選出されるなど、今も語り継がれる名作。1991年のサンダンス映画祭で撮影賞を受賞。

アメリカ黒人映画傑作選

 4/18(金)〜5/8(木)ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催!ほか全国順次ロードショー

(オフィシャル素材提供)

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